院長コラム

No.41 放送倫理について

2019年10月03日

No.41 放送倫理について

「安楽死」を扱った今年6月2日放送のNHKのドキュメンタリー番組「彼女は安楽死を選んだ」が“自殺を肯定する内容で、障がい者や難病患者の尊厳や命が脅かされた”として、日本自立生活センターが放送倫理・番組向上機構(BPO)に審議申立書を送付したとのニュースを見ました。

私もこの番組を見ましたが、決して「生の尊厳を否定している」とは思えませんでした。逆に、「生の尊厳とは何か」ということについて深く考えさせられた内容だったと評価しています。

番組は重い神経難病を患った女性が、スイスに行き安楽死を遂げるまでの姿、家族の葛藤を追ったものでした。安楽死は日本では認められていないため、安楽死が容認されているスイスに行き、姉たちに見守られながら最期を迎えたと言うものです。彼女は3年前に、神経の難病と診断され歩行や会話が困難となってきていました。医師からは「やがて自力での食事ができなくなるため胃に穴を開けて直接胃にチューブで栄養をおくる胃瘻が必要になるだとう」と言われました。また「自力で呼吸ができなくなるため、人工呼吸器の装着が必要になる」とも言われました。そして彼女は「人生の終わりは、意思を伝えられるうちに自らの意思で決めたい」と考え、スイスに安楽死を求めたのです。自殺未遂を繰り返す彼女から「安楽死が唯一の希望の光」だと聞かされた家族は、彼女の最後の希望を受け入れ大切な妹の最期を見守ったのです。

自分の意思で生きることが困難な人に、生きることを強いて良いのでしょうか。自分の最期を自分で決めることがそれほど罪深きものでしょうか。

私は普段、神経疾患の患者さんと接する機会がありませんが、癌の患者さんと毎日接しています。そうすると、とても「がんばって」とは言えないのです。なぜなら、みんなすごくがんばっているから。それが凄くわかるから、とてもがんばってとは言えないのです。

“がんばってもどうしようもない未来”があると知ったときに我々はがんばれるものでしょうか。“あなたの病気は良くなりません。歩くことはおろか、しゃべれなくなり、息もできなくなります。意思も伝えられなくなります。でも自分で自分の最期を決めてはいけません、何年続くかわかりませんが悪くなっていく自分を受け止めて下さい”とは何と酷なことだろうと思うのです。

勿論、番組の中では「最後まで生きる」という意志のもと日々を過ごされている方も紹介されていて、それはまた途方も無くすごい事だと思います。しかし、自分の最期を自分で閉じたいという意志を持ち、それを実行することは否定されるべきことなのでしょうか。

確かに、全てをテレビで放映したことのインパクトは強すぎたと思います。しかし、今回の申し立てのような「障がいや難病を抱えて生きる人たちの生の尊厳を否定し、死ぬ方向へと背中を押してしまうようなメッセージ」だとは思いませんでした。確かに強烈な問題提起だったとは思いますが。

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