院長ブログ(No.183 親友はいますか?)|大阪のがん免疫療法(免疫細胞治療)緑地公園駅 内科 北大阪メディカルクリニック

院長ブログ

No.183 親友はいますか?

2023年01月27日

先日、火災保険に加入しようと保険会社から資料を取り寄せた。手続きを進めていくと、「緊急時の連絡先」の記入欄があり「最低3名」を記入するようにとあったが、さて、ここではたと困ってしまった。私には「親友」とよべる人がいないのだ。「最低3名」は、私にとってはかなりハードルが高く、おもわず保険会社に「3名書かないと加入できませんか」と問い合わせをしてしまった。

さて、「親友」とか「緊急時に対応してくれる人」が皆さんには3名もいるのだろうか。いる人はとても幸せな人だと思う。私は友だち付き合いが良いほうではなく、今までの人生を思い返してみても「親友」とよべる人は片手もいない。地球の裏側にいても、助けを求めたら取るものも取りあえず来てくれる人は何人いるだろう、と時に考えるが、やはり数はとても少ない。

今の時代、スマホ、LINE、SNSと、いかにも交友範囲が広がっているように感じるかも知れない。しかし果たして、本当に自分が困ったときに、駆けつけてくれる人を皆さんはどれほどお持ちだろうか。

メールが来て、LINEが来て、すぐに返事をしないといけないような時代。すぐに返事をしないと仲間はずれ、いつの間にか自分を抜いたLINEグループができていた、なんて言うことも珍しくない昨今。友だちがたくさんいるように見えるが、それは「真」の繋がりをもった友だちだろうか。数ではなく、深みのある付き合い、繋がりを持ちたいものだ。

人は歳とともに成長し、考え方も、自分の経験や勉強、交友関係などでかわっていくことは当然である。“何十年来の親友” と言うほどの信頼関係を持てている人の話を聞くと、羨ましく、ただただ感心するばかりである。

行動範囲も広がり、情報も氾濫する今の時代。自分というユニークな土壌の上に、色々な刺激を与えて、新たな自分を醸成していくだけの時間のゆとり、心のゆとりを持つことが難しくなってきたのではないかと思う。“一生、この村からでたことがない” などということが珍しくなかった昔、いろんな意味で人との繋がりは深く、絆は強く、自分の内面を見つめる時間があり、それはある意味濃厚な人生を送ることができたのではないだろうか。

「絆」と言う言葉がよく使われ、「寄り添う」という言葉を日々耳にする。「人に寄り添う」ことがどれ程大変なことか。これらの言葉が安易に使われすぎているようで、私には馴染めない。単なる流行語と捉え、そんなに真剣に論じるものではないかもしれないが。

本当の意味の「友」。表面的な言葉がけではなく、心から心配して、自分の時間を惜しみなく費やしてくれる「親友」を皆様は何人お持ちだろうか。

・・・ということで、「緊急時の3名」の壁を今なお破れずに困っている私である。

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