院長ブログ(No. 180 がん治療の流れが少し変わってきた?)|大阪のがん免疫療法(免疫細胞治療)緑地公園駅 内科 北大阪メディカルクリニック

院長ブログ

No. 180 がん治療の流れが少し変わってきた?

2022年12月22日

当院に通院されているがんの患者さんで、一度も抗癌剤治療をされていないかたがおられます。見つかった時にはステージⅣで、某有名病院で余命3ヶ月ほどといわれたそうです。主治医からは手術適応外であり抗癌剤治療を勧められたものの、抗癌剤治療のマイナス面を考えて積極的になれず、他の方法はないかと数ヶ月前に当院を受診されました。

当院受診後、他にも2カ所の病院を受診されたそうですが、どちらでも抗癌剤は勧められなかったようで、今もガイドラインに沿った治療は受けられていません。2ndオピニオンに行かれた病院の医師は有名大学病院の元教授たちで、現役時代にはしっかりと抗癌剤治療をされていたであろうと思われるので、どちらの医師からも「抗癌剤はしないほうがいい」といわれたと聞き、私の方が驚きました。

なんとなくですが、最近、がん患者さんの治療方法が少し変わってきたように感じます。以前は “がん細胞を殲滅する” というのを目標として極限まで抗癌剤を投与していたのが、 “癌細胞と共存する” というスタンスをもつ医師がちらほら出てきたのではないでしょうか。

“抗癌剤は減量すると効果がない、減らしたとしてもガイドラインで示されている投与量の80%は投与しないと意味がない” と教えられてきましたし、私も長い間そう思っていました。そして現在でも、外来に来られている患者さんの多くは、主治医から「減量すると効果がないといわれている」と言います。しかし、来られる患者さんの様子を見るにつけ、果たしてこのままで良いのだろうかと思っていました。

患者さんは、大きな総合病院で治療を開始し、治療方法がなくなったら中規模病院でフォローされることが多いと思います。ですから、抗癌剤治療を積極的に行った医師は自分の手から離れてしまった患者さんがその後、どのように過ごされているのかを知りません。 “ガイドライン通りに抗癌剤を投与しないほうが良いこともある” という事は大病院の先生がたにはなかなかわかりづらいことなのです。

私は長い間、“血液がん(白血病やリンパ腫)は治すことができても、固形腫瘍の病勢をコントロールはできない” と考えていました。また、抗癌剤投与を休むと急速に悪化するのではないかという強い不安もありました。”ガイドラインから外れたことをして、結果が良くなければ責められるだろうなあ” という心配も当然あります。

しかし、「抗癌剤をしていると食欲がなくなるので、半分にして欲しいと主治医に言った」とか、「本来は2週に1回投与って言われたけど、そんな事をしているとやっと食べられるようになったと思ったらまた抗癌剤投与になるので、1ヶ月に1回にしてもらうようにした」とかいうかたがおられて、その方々を見ていても、それで悪化したようにも思えないのです。なかなかそのような希望を主治医に言いにくいと思いますが、このような患者さんの経過をみて “抗癌剤の投与方法にもっと幅を持たせてもいいのだな” と医師が柔軟に考えてくれればと思います。ガイドラインの投与量で大きな副作用もなく治療効果が上がればいいのですが、もう少し患者さんに合わせられたらいいなと。

他の癌種に先駆けて胃癌のガイドラインが作られたのが2001年です。これはこれで素晴らしい、全国どこにいても質の高いがん治療を受けることができる、という意味では重要な役割を果たしてきました。しかし、ガイドラインができて20年、いろいろな癌種のガイドラインができ、改定されていますが、そろそろ振り子の揺り戻しが起こってきたように思います。

世界各国からの最新の情報が詰め込まれたガイドラインをベースとして、もう少し幅の広い、包容力のある、寛容な治療方法も遠からず選択されるようになるだろうという予感がします。

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