院長ブログ(No.178 抗癌剤投与について)|大阪のがん免疫療法(免疫細胞治療)緑地公園駅 内科 北大阪メディカルクリニック

院長ブログ

No.178 抗癌剤投与について

2022年12月09日

現在は、がんの診断を受けたものの手術適応外と判断された場合や、術後再発率低下を目的として、また術後再発した際には、抗癌剤治療を行うのが一般的です。各癌種にはガイドラインがあり、世界各国からのデータなども取り入れられ年々新しくなっていきます。ですので、ガイドラインに沿った治療というのは、我々治療する側にとっては金科玉条の如くに捉えられている節があります。

私も長年抗癌剤治療をしてきましたが、現状の抗癌剤投与量では副作用がきつすぎて継続がなかなか難しい。また副作用で正常細胞がダメージを受け、骨髄抑制や消化器症状、臓器障害などで断念することも珍しくありません。抗癌剤治療では、“画像上、腫瘍が見えなくなる” “小さくなる” “変わらない” であれば “有効” と考えられます。しかし、ある医師が言っていましたが、「手術で腫瘍を半分切除したからって誰も納得しないのに、抗癌剤で腫瘍が半分になれば “良く効いた” と評価するのは何故か?」と。確かに。

抗癌剤の効果判定の際、「完全奏効」とか「部分奏効」とか言う言葉を聞くと思います。「完全奏効」とは「画像上、腫瘍病変が4週間以上認められないこと」を意味し、「部分奏効」とは「画像上、腫瘍面積が50%以下の大きさに縮小しそれが4週間以上続いていること」を意味します。つまり、1ヶ月後に再び顔を出してきたり、増大してもその薬は「良く効く薬」とう評価になります。「画像上」見える大きさには限界がありますから、「画像上見えない」ことが「がんが体内から駆逐された」ことにはなりません。ですから、抗癌剤の有効性を縮小率でみるのか、生存期間の延長でみるのか。はたまた生活の質の維持に重きを置くのか、ということが大事になります。

抗癌剤治療を受けて腫瘍が小さくなったとしても、数ヶ月後に元の大きさになったら、副作用に耐えた日々はなんだったのかということになります。それならば、小さくならなくてもしんどくない治療の方が良い、という考えの人がいてもいいでしょう。抗癌剤をして苦しい期間が3ヶ月あったけど、寿命が3ヶ月延びたとしたら、その意義をどう捉えるのか。勿論、「どうしてもしなければいけないことがあるから、苦しくても延命」という考えかたもありますので、どちらを選択するかはその人の人生観によると思いますが、もう少し選択肢に幅があっても良いのではないでしょうか。

「何もしなければ余命半年だが、抗癌剤をすれば1年になる可能性がある」などと言われて抗癌剤治療を受けることは多いと思いますが、「何もしなければ余命半年が、抗癌剤をすれば3ヶ月になる可能性がある」とはなかなか言われないでしょう。闘いを挑むことによって短くなる命もあります。

抗がん剤の投与量はどのように決められるかというと「投与限界」です。抗癌剤の投与量を増やせば殺細胞効果も高くなるので、どこまでの量なら可逆的な副作用で抑えられるか、ということから投与量を決めます。脱毛があってもまた生えてくる、嘔吐してもまた食べられるようになる、という「可逆的副作用」の範囲であれば投与します。

私は血液内科出身なので、白血病の治療に大量の抗癌剤を用いました。それこそ投与限界まで投与しましたが、それは「治癒」する可能性があったからです。しかし、固形腫瘍となると、腫瘍が小さくなったと喜んでも、遠からずまた大きくなってきます。以前と比べると、最近は抗癌剤の目的を「延命・緩和」と主治医から聞いておられるかたが増えたように思いますが、まだ「有効」という言葉に「高い有効率」と思われている患者さんが多く、全体に頑張りすぎの印象を持ちます。また、その原因は医療者側にあるとも感じます。

世の中には、いろんな治療?方法があって、手術、放射線、抗癌剤以外にも、温熱治療、ワクチン、食事療法、健康食品などあります。どれがどれほど効果があるのか私にはわかりませんが、少しずつでも良いからプラスを積み重ねて欲しい、と思っています。ど~ん、と大きなマイナスがあると折角積み重ねたプラスが一気に引き戻されてしまいますから。

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