院長ブログ(No.175 社内のゴミを拾う人は社長)|大阪のがん免疫療法(免疫細胞治療)緑地公園駅 内科 北大阪メディカルクリニック

院長ブログ

No.175 社内のゴミを拾う人は社長

2022年11月14日

昔読んだ本に、「社内でごみを拾っている人がいたら、それは社長」という文章がありました。
昨日は大阪も一日雨でしたので、珈琲を飲みながら本を読んでしましたら、「自分の会社の看板のネオンが一部消えているとき、電球を取り換えようとするのは社長。消えてるな、と通り過ぎるのは社員」という文章がありました。
これらの例えはどちらも同じことを言っているわけですが、結局はいろんな物事を自分のこととして考えることができるかどうか。

会社で働くとき、言われたことをしているだけではおもしろくない。それはいわゆる「労働」になってしまいます。つまり賃金をもらうために労力を提供すること。しかし、もし自分が会社で仕事をしたとき、そこに自発的に物事を行うという創意工夫が入り込んでくると、「労働」から「仕事」に変わっているのではないでしょうか。

ドイツ生まれの思想家 ハンナ・アーレントは、人間の行動を下記の様に3種類に分類しています。
☆ 活動(action) :自発的にやること。心からしたくてする純粋な行動。確かに「ボランティア活動」といいますが、「ボランティア労働」とはいいませんね
☆ 仕事(work):収入のためにしていることではあるが、強制されている訳ではなく、誇りをもってやる気に満ちている行動。
☆ 労働(labor):生きるためだけにしていること。しないで済むならできればしたくないこと。

ある調査によると、わが国で自分のしたい仕事ができている人は約1割、生活の為という人が7割、どちらでもなくその中間という人が2割、というもので、いくつかのデータをみても大体これくらいのようです。

就職するときから、「〇〇になりたい」「△△をしたい」と思ってできる人はいいですが、そんな人ばかりではありません。しかし、生活の糧として始めた「労働」でも手を抜くことなく積極的に取り組み、できれば人の為と思って一生懸命しているうちに、おもしろくなって「仕事」になってくるのではないかと思います。私の好きな言葉で、何回かこの場でも書きましたが、「職業に貴賎があるのではなく、仕事に対する態度、心の持ちかたに貴賎がある」というのがありますが、「どんな仕事をしているか」ではなく「どんな気持ちで仕事をしているか」が大切なのだろうと思います。そしてそれはまわりの人が感じるものです。

小さい時、母から「人と同じことをしていたら、人と同じ」とよく言われました。確かにその通りで、人と同じことをするのはまず当たり前。その上に、自分が工夫をして、努力をしてどれだけ積み上げられるか。人よりできるようになればおもしろくなり、おもしろくなればもっと専門性を高めようとする。専門性が高くなれば求められるものも高くなるので、それに応えようと更に頑張る、と自然と上がっていくもの。
そして、そうして積み上げてできたものは愛おしいので大切にする。そこで「社長になったら社内のゴミは率先して拾うようになる」と始めの話に戻る訳です。いろんな労働を、どこまで自分のこととしてとらえられるか。どこまで遣り甲斐のある仕事と思って過ごせるか。
一日のうち8時間を費やし、行き帰りの時間を含めれば10時間は費やすことも珍しくない労働。できれば他人事ではなく、自分事として取り組むとおもしろみが増すかも知れませんね。

ある会社のトップまで上り詰めた人の話。お客さんにあげる物がなかったから、魚を釣りに行って釣れた魚をあげた。お客さんにあげる物が無かったから、自分で木の板を買ってきて犬小屋を作ってあげた。勿論そこまでする “必要” はないのでしょうけれど、「労働」を自分の血として、肉として「仕事」にするためにはこれくらいの心意気が大切なのかもしれません。

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