院長ブログ(No.174 便利さとその不安定さと)|大阪のがん免疫療法(免疫細胞治療)緑地公園駅 内科 北大阪メディカルクリニック

院長ブログ

No.174 便利さとその不安定さと

2022年11月13日

去る10月31日、大阪急性期総合医療センターが次のような発表をしました。
『「ランサムウエア」と思われる攻撃により電子カルテシステムに障害が発生し、緊急以外 の手術や外来診療の一時停止など通常診療ができない状況となっています。現時点(10/31 21 時現在)で復旧のめどが 立っておらず明日の診療についても休診とさせて いただきます』。今はまだ、通常診療はできないものの、11月10日から電子カルテの一部が参照可能となり、少しずつ動き出してきているようです。しかし全面復旧は来年の1月になると。

このニュースを聞いたとき、「来た~」というのが正直な感想で、電子カルテを毎日使っている者としては、普段から非常に心配しているところなのです。勿論こんな攻撃するほうが悪いわけですが、リスクを認識しながらも脆弱なまま使ってしまっている側も考え直さなくてはいけません。コンピューターはネットワークが張り巡らされていて、外部と簡単に繋がることで非常に便利なツールです。しかし、繋がっている全ての組織が外部からの攻撃に対して防御できるだけの体制を整えているわけではないゆえに危ないのです。

電子カルテの始まりは1999年で、まだ20年そこそこ。調べてみると、2020年の時点での普及率は一般病院では57%、一般診療所では50%というのですから、思ったよりも普及率は低いですよね。でもこれはこれで利点があると思います。以前、自然災害で電気が止まった際に、紙カルテの病院では診療を続けることができたという事がありました。物事を何か一つに集中させることは機能的で便利ではありますが、リスクを孕みます。何かをなすためのルートは二つ以上は欲しいものです。

電車だけでなく車、電気だけでなくガス、ガスだけでなく薪? 電子カルテだけでなく紙カルテ、水道だけでなく井戸? スマホだけでなく固定電話。電子マネーだけでなく現金。水洗トイレだけでなく、ポットン便所? とまあ、複数の方法がある方が、スマートではないにしても色々な場面に対応できると思います。

また、今や多くの人がスマホを持っていると思いますが、これも私は怖い。その仕組みを知らないまま大事な情報を次々と落とし込んでいるわけですから。私は、特に機械音痴ですので “スマホに入れた情報は、公になっている” と思っています。

今の世の中には挙げたらキリがないほど便利なもので囲まれています。それらが無かった時代に今から戻れと言われると流石にかなり不自由です。ですから不便な時代を懐古しようと言うつもりはありません。ただ、知っておくべきはパソコン、スマホなどと、掃除機、車などとの絶対的な違いです。掃除機や車などは、仮にそれが壊れたとしても、個人が一時的に不自由を感じる「内向き」の問題です。しかし、「外向き」に情報を発信し、蓄えているツールであるパソコン、スマホには、デリケートな個人情報が凝縮されています。外部から悪意をもってアクセスされたり、内部の不届き者がいれば情報は抜き取られ、長きに亘って迷惑、不自由、時に恐怖を感じます。

マイナンバーも実質義務化ですが、何か重大な情報の漏洩が起こってから「あってはならないことが起こって申し訳なかった」と頭を下げられても取り返しがつきません。一度流れでた情報は消せはしないのですから、政府がいつも言っているように「緊張感をもって」対処して欲しいものです。

世界は今、いい方向に向かっているのでしょうか。いろいろなものが開発され、便利になったこともたくさんありますが、物騒な世の中になったようにも思います。核兵器だ、ミサイルだ、ドローン攻撃だ、クラスター爆弾だ、生物兵器だ。耳を塞ぎたくなるような目を覆いたくなるような惨事をもたらすのも人間の開発したものです。発見・発明は使う人の考え方によって、善にも悪にもなるわけです。世界は良い方向に向かっている。そうあって欲しいと思います。

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