院長ブログ(No.173 利他の心)|大阪のがん免疫療法(免疫細胞治療)緑地公園駅 内科 北大阪メディカルクリニック

院長ブログ

No.173 利他の心

2022年11月06日

物事がうまく行かなかったとき、我々は心のどこかに誰かを責める気持ちがあるのではないでしょうか。
がんが見つかって手術したものの再発したとき、手術した医師を責めないか。
希望の大学に合格しなかったとき、学校の指導体制を責めないか。
会社が倒産したとき、社長を責めないか。
家が地震で壊れたとき、建設業者を責めないか。
野球の試合で負けたとき、打たれたピッチャーを責めないか。

世の中、生まれてから死ぬまで本当にいろんな場面に遭遇します。転んだことがない人、順風満帆な人は果たしてどれ程いるでしょうか。なにかに挑戦すれば、うまくいかないことはあるもので、挑戦すればするほど失敗の数も多くなって当然でしょう。失敗の数は挑戦の数、といえるのかも知れません。

物事は残念ながら、思ったようにはうまくいきません。人数にも限りがあり、予算にも限りがあり、時間にも限りがあります。対処しなければいけない事が同時多発的に起こることもあれば、起こりうる自然の影響を全て的確に予測する事もできません。いくらまじめに慎ましやかに生きていても一方的に攻められることもあれば、本人がどうすることもできない出自で差別を受けることもあります。

しかし、今年8月24日に亡くなられた稲盛和夫氏は「人生で一番大切なことは、どんな環境にいてもまじめに一生懸命生きること。どんな逆境であろうと不平不満を言わず、順調だからと言って慢心せず、与えられた仕事に全身全霊で打ち込むこと。そして、他人を幸せにしてあげたいと強く願うこと」とよく言われていました。人生の目的は、生きる意味は「魂を磨くこと」「善きことを思い、小さな事でもいいから善きことを実行していくこと」と。

他人を責めて、他人を中傷して、他人を貶めて、自分が納得するか、自分が優位に立ったと満足できるかと考えると、多分そのような人は少ないのではないでしょうか。一時的な優越感を持てたとしても、そんな感情は長続きしないでしょう。

孤島に一人で暮らしていたら、人は幸せを感じるでしょうか。人は、他人が喜んでくれることで幸せを感じるのでしょう。人は、人と接することでストレスを感じることもありますが、やはり人は人と接することで癒やされ、心満たされるのです。

人は人と比較して幸せを感じるのでしょうか。確かにそのような面はあるでしょう。人より大きな家に住んでいる、人より良い車に乗っている、人よりブランド品をたくさん持っている等。
しかし人は一人で生きているのではありません。人とのかかわりにおいて生きています。ですから、いずれは無くなっていく “物” で比較するのではなく、いつまでも無くなることのない “心” がより気高く、より利他を重んじるものであれば幸せ、幸せな人生、と言えるのだろうと思います。

もう、11月。今年も残すところ2ヶ月弱だなあ、とすっかり色づいた銀杏を見ながら御堂筋沿いを歩いてきました。今年失った大きな存在、それはやはり稲盛さんだと思い、少し書いてみました。

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