院長ブログ(No.169AI診療との棲み分け)|大阪のがん免疫療法(免疫細胞治療)緑地公園駅 内科 北大阪メディカルクリニック

院長ブログ

No.169 AI診療との棲み分け

2022年10月06日

今や、テレビでニュースを聞いていても、「AI(人工知能)による自動音声」がアナウンサーが読んでいるのとほとんど違和感なく聞こえてきます。レストランに行ってもロボットが珈琲を入れてくれたり、注文した料理を運んできてくれたりという試みも始まっているらしいですね。

新型コロナウイルスの感染が広まったことで、人と人との接触が制限されるようになり、病院にお見舞いに行ってもパーテーション越しでしか会えなかったり、会社のミーティングもパソコンの画面越しだったりと、人と人との直の触れ合いがとても減ってきました。

診療においても、「オンライン診療」の導入が勧められています。しかし、患者さんの声を聞いていると、それほどオンライン診療を希望している人はいないように思います。当院に来られる患者さんを診察すると「この病気になって2年になるけど、初めてお腹触ってもらった」とか、「胸の音聞いてもらったの初めて」などという言葉を意外と聞くものです。まあ、うちの外来がのんびりしているからだと言われればそうなのですが(笑)、やはり人は温もりを望むのではないでしょうか。そして、オンライン診療と対面診療のどちらが良いかと伺うと、意外と対面での診察を希望されるのです。

CT検査と触診・聴打診とどちらのほうが情報量が大いのかと言われれば、勿論CTでしょう。触診で膵癌はわかりませんし、聴診で肺癌はわかりません。「医師は病気を治せばいいのだから、聴打診なんて時間の無駄」と言われればそうかもしれません。どちらかしかできない、と言われれば「CTを撮りましょう」ということになります。しかし、クリニックをしていると、いかに多くの人が触診、聴診などの診察を希望しているかということがよくわかります。
どちらもできれば良いですが、大きな病院は患者さんがいっぱいいますから、ベッドに横たわって、服を脱いで、診察して、靴を履いて・・という時間がないのもわかります。また町の小さなクリニックでCTが撮れるか、MRIが撮れるか、といわれるととても撮れません。

今後、更に医療技術が進歩し、新しい薬が開発され、各分野がどんどん専門性を帯びるようになると、一人の医師が広く深くフォローすることはできませんから、AIなどの技術力・知識量を使って病理診断をしてもらう、画像診断をしてもらう、鑑別疾患をあげてもらう、最適な薬を選んでもらう、ということには、医師にとっても大変ありがたいことです。

しかし、仮に、ある端子を自分で胸に当て、画面の向こうのAI医師がその音などからいくつかの疾患を想定し、検査をし、ある診断に辿り着き、薬を処方してくれたとして、そのような医療が広まるのだろうかと思います。いやいや、やはり、数年後、数十年後には、生身の医師などはいなくなり、AI医師による診察、悩み相談、処方などがされ、それが当たり前になる時代が来るのかも知れません。

しかし、情緒的と言われるかもしれませんが、やはり触れる、同じ空間にいる、手を伸ばせばそこにいる、というのは、AIやオンラインでは埋めることのできない心を満たしてくれるのではないかと思います。益々精巧になってきたアンドロイドなども、最近は「憂いのある表情」「心配そうな表情」などもできるようになってきたそうですが、そのうちアンドロイドが生身の人間の代わりになるのでしょうか。

知識量やスピードに関しては、どんどんAIに入ってきてもらって医療現場を助けて欲しいと思いますが、人は人であって機械ではありませんので、顔を直接に見ながら、患者さんとちょっと横道にそれた話をすることも必要なのではないかと思います。人には人にしかできない事があって、それは他の何ものにも代わってもらう事はできません。以前にも書きましたが、「一見不要」なことは「実は必要」なことだと思っています。「10年後には、AI診察が主流になる」という記事をみて、ちょっと書いてみました。

一覧に戻る