院長ブログ(No.170 いろいろな考え方)|大阪のがん免疫療法(免疫細胞治療)緑地公園駅 内科 北大阪メディカルクリニック

院長ブログ

No.170 いろいろな考え方

2022年10月12日

うちのクリニックは大阪の御堂筋沿いにあります。御堂筋は銀杏並木がきれいなことで有名で、クリニックの前の道路沿いにも何本もの銀杏があり、日毎きれいに色づく銀杏に秋を感じます。しかし、去年くらいから、雌の銀杏が根本から切り倒されるようになりました。皆さんご存じのように、銀杏は雄と雌があって実を付けるわけですが、雌の銀杏だけが切り倒されていきました。

理由はわかりませんが、多分、「臭い」「滑る」「掃除が大変」など、いろいろな意見が市に寄せられて切り倒されたのでしょう。潰れた銀杏の実による不利益を被る人がいるのは理解できますが、だからといって、実を付ける木を切り倒していくという人間の勝手にとても心が痛みました。それなら、最初から雄の木を植えることはできなかったのだろうかと。
そして、みんなとは言わないまでも、多くの人が切り倒された雌の銀杏の木をかわいそうに思っているだろうと思っていました。

ところが、先日、数名の友人と切り倒された雌の銀杏の話をしていたところ、木が切り倒されていることを知らない人もいました。また「臭いからね」「掃除が大変だからね」との意見が多く、私と同じ考えの人はいませんでした。そして、改めて「世の中には、いろんな意見の人がいる。“ 普通は○○だよね” なんていう“ 普通 ”はない」ということを認識しました。

確かに、人は立場によって考え方が違います。自分の家の近くに幼稚園ができるとして、「若い世帯もふえるし、子ども達の声が聞こえて、町が活気づくね」と思う人もいれば、「折角静かなところで暮らしているのに、うるさくなって迷惑だ」と思う人もいます。

私が小さかったころは、家でピアノの練習をしていても、うるさいなどの苦情はなかったと思います。しかし、今は、音の出ないピアノで練習したり、わざわざ防音設備のある音楽ルームにいって練習したり、とまわりに気を遣っていると聞きます。

昔のほうが寛容だったのか、今は、「個人が」という感覚が「全体」より優っているように感じます。
アメリカも「アメリカ1st」といい、イタリアもフランスも自国民1stを掲げる政党が勢いを増しています。しかし、それぞれが「自分のところが一番」と言い始めて、それが実現可能でしょうか。多くの物事が「win win」になれば勿論良いですが、それが難しくて譲歩したり、痛み分けになったりすることもあるでしょう。

私が小さい頃なら、今回切り倒されてしまった雌の銀杏の木は、今頃たわわに実を付けていたのではないかと思います。そして、銀杏の実を拾う人がいて、近所にお裾分けし、それが夕飯の茶碗蒸しの中に入っていたりして。そして潰れた実で汚れた道路を誰ともなく掃除していたように思います。

歳をとると昔を懐かしむと言います。私も歳をとったのでしょうね。

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