院長ブログ(No.167 運動に抗鬱効果あり)|大阪のがん免疫療法(免疫細胞治療)緑地公園駅 内科 北大阪メディカルクリニック

院長ブログ

No.167 運動に抗鬱効果あり

2022年09月08日

ジェニファー・ハイズ博士の鬱に対する運動の効能についての研究が、一般向けにわかりやすくまとめられた『うつは運動で消える 神経科学が解き明かした「心の不調」のリセット法』という翻訳本が、昨日出版されました。まだ読んではいませんが、タイトルを見るだけでもおもしろそうですので是非読んでみたいと思っています。この本の紹介記事には、「身体を動かすことによって抗うつ薬に匹敵する“うつ改善効果”が得られる」「レジリエンス(=回復力、しなやかさ)因子が増え、不安に強くなる」「自然界で2番目に強い“睡眠導入剤”が体内で作られる」などと書いてあります。
運動をすると、落ち込みが減り、心が安定して、夜もぐっすり眠れる、なんて素敵ですよね。

確かに、気分が落ち込んだ時、仕事に関することを何もしたくない時、将来に対して希望が持てない時、失敗をした時、人を傷つけてしまったのではないかと気に病んだ時、など、いろいろな「負」の気持ちがあるとき、身体を動かすとリセットできる、という経験は多くの人が持っていると思います。身体を動かすことで、「もう一度頑張って見よう」とか、誰かに「相談してみよう」とか、傷つけたかも知れない相手と「直接話をしてみよう」とか、なにがしか少し前進させることができたことがあると思います。

勿論、あまりにも落ち込んでしまった状態の時に「外に行って身体を動かそう」なんて誘われてもとてもそんな気にはならないので、そこまで(底まで)行く前に、動くことができれば、ですけれど。

今は、抗鬱剤にも色々な薬ができましたし、心療内科、精神科の門を叩くのも以前のように憚られるようなことはなくなりました。外来をしていて、お薬手帳を見せて貰うと、意外と多くの人が安定剤、抗鬱剤、睡眠薬を飲んでいることがわかります。薬で心が穏やかになるのであれば、積極的に専門の科を受診していただきたいものです。ただ、薬にはどうしても副作用があります。抗精神薬の場合、倦怠感、眠気、ふらつき、嘔気や下痢、便秘などの消化器症状、性機能障害などが見られたり、減薬時の離脱症状が現れたりすることもあります。ですから、運動をすることによって薬を少しずつ減らせるとか、薬を内服せずに運動で心が穏やかになるとより良いと思います。

私も若かりし頃は、「スポーツをする時間があるなら、患者さんのところに行かなくちゃ」とか「そんな時間があるなら勉強しなくちゃ」ととても思っていました。しかし今は、身体を動かして、心や頭がすっきりした状態で大切なことをする方が、能率がいいと思うようになりました。
今は、病棟を持たなくなったためか、歳をとったためか、仕事や勉強をしないこと(≒体を動かすこと)に対する罪悪感は以前に比べて随分少なくなりました。ですから、休みの日には適当に身体を動かしたり、音楽を奏でたりするようになり、そのおかげか、気分の落ち込みも確かに減ったように思います。

新型コロナウイルス感染症に対する政府の対応も少しずつ変わってきました。スポーツの秋、音楽の秋。暑さも和らぎ、身体を動かすのによい季節になりました。外に出て身体を動かし、空を見上げ、新鮮な空気を胸一杯吸って、心も軽くなるといいですね。

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