院長ブログ(No. 164 日本語を守る)|大阪のがん免疫療法(免疫細胞治療)緑地公園駅 内科 北大阪メディカルクリニック

院長ブログ

No. 164 日本語を守る

2022年08月27日

英語を社内公用語にしている会社が増えてきているとききます。調べてみて下さい。日本の名だたる企業が英語を公用語としています。皆さんは、このことに対して危機感を感じないでしょうか。私はとても怖い、と感じます。確かに、英語を話せると言うことは、企業として世界を渡り歩き、競争において負けないために確かに必要であることは良くわかります。

しかし、私たちは日本人なのですから、母国語である日本語を大切にしないと日本という国が無くなるのではないでしょうか。形だけ、地図上で日本という国が残ったとしても、日本文化、日本の情緒という何千年もの長い月日をかけて育まれてきた大切なものが失われてしまうように思います。そうなれば、それは「日本」ではないのです。

日本語をしっかりと身に付け、日本の文化を理解し、日本の情緒を感覚として身につけた上で、他国語も話せるというのであればすばらしいと思います。しかし、会社での時間は長く、一日8時間、10時間と英語を話していると、発想も感覚も日本ではなくなるのではないでしょうか。ですから私は、日常生活で多くの時間を過ごす会社で英語を使うという取り組みをとても憂慮しています。海外の取引企業は流暢な英語を話す人に惹かれるのでは無く、素晴らしいアイデア、独創的な製品に惹かれると思うのですが、そこには、日本を大切にしているからこそ生まれる斬新な発想があると思うのです。

母国語と世界共通語を話すことがでれば一番好ましいでしょう。私は日本語しか話せないので外国語で相手と意思疎通ができればどんなに楽しいだろう、と何十年来思ってきました。しかし、「英語は流暢に話せるけれど、日本語は乏しい」となれば、そのほうが寂しいのではないでしょうか。何故なら私は日本人だから。先日、旅先の風景をリポートするという番組を見ていたら、そのレポーターは「すごい、きれい」しか言わないのです。どの景色をみても「すごい」「きれい」。聞いていてとても悲しく感じたのは私だけでしょうか。

今、ロシアが占領したウクライナで、ロシア語教育が行われているといいます。つまりこれは言葉だけの問題ではなく、ウクライナという国の歴史、文化の抹殺につながるのです。たとえば琉球語、アイヌ語を奪った日本は、琉球文化の本質も、アイヌ文化の根幹をも奪ったのではないでしょうか。

言葉が多ければ豊かな発想につながると思いますし、豊かな発想は豊かな未来につながると思います。「最高」「やばい」「すごい」で日常生活をやり過ごすことは可能でしょうが、とても浅い、味気のない、無味乾燥とした動物的な日常になると思います。言葉には幅があり、奥行きがあり、深みがあるのです。人は何かを考えるとき、言語を用いて考えるわけであり、言葉が貧困になると言うことは、思考が貧困になるということ。思考が貧困になると言うことは未来が先細りになるということなのです。

ソムリエがワインの解説をするのを聞いているとおもしろいですよね。「おいしい」だけでは伝わらない色や香り、風景まで想像し、世界が広がります。
「もののあわれ」を知る日本人の心は、日本の美徳だと思います。外国の言語に「もののあわれ」に相当する言葉があるのかどうかは知りませんが、脈々と受け継がれている日本の文化や歴史を子孫に残していくことはとても大切なことです。一度失ったものは、元には戻せません。そのためには、まず、正しい日本語、奥深い日本語を身に付け、四季の移ろいを感じることが重要だと思います。

これからの世代の人にも、美しい日本語を守り続けてもらいたいですし、繊細な情緒、細やかな感性をもった日本人であり続けることを誇りとして欲しいと思います。

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