院長ブログ(No.161 命の重さ)|大阪のがん免疫療法(免疫細胞治療)緑地公園駅 内科 北大阪メディカルクリニック

院長ブログ

No.161 命の重さ

2022年07月16日

先週7月8日、安倍元内閣総理大臣が銃撃され亡くなりました。あまりのことににわかには信じがたかったのですが、紛う事なき事実であり、二日後の参議院選挙の結果に影響を与えたと答えた人が80%を超えたといいます。

その後も毎日のように、安部元総理の死を悼み、献花台に花を手向ける人の列が報道されています。確かに、歴代最長の総理大臣を務め、数々の法案を成立させてきました。それまで「日本の総理大臣は毎回替わる」と言われた各国首脳の会合においても、安倍さんは安定感と存在感を見せたと思います。

まだ67歳という若さで突然命を奪われたことに対して、心から哀悼の意を表します。しかし、このことと安倍さんの政治家としての業績は分けて考えなければいけないと思います。

森友学園問題において、文書の改ざんを命じられ自ら命を絶った赤木俊夫さんの死、その経緯、真実は結局うやむやに葬られた感があります。赤木さんの命と安倍さんの命、どちらも同じく尊く大切なのではないでしょうか。しかし、安倍さんの死を悼む人は数知れないのに、赤木さんが自ら死を選ばざるをえなかった事件に関しては「認諾」という形で強引に幕が降ろされました。

安倍政権時代に成立した法案はたくさんあります。例えば「特定秘密保護法」。パブリックコメントでは、賛成側の意見が11,632件、反対側の意見が69,579件、その他の意見が9,269件とあります。これだけ反対があっても、この法案は成立しています。 ジャーナリストらは「特定秘密保護法は表現や報道の自由を侵害し憲法違反」として訴訟を起こしましたが敗訴しています。
「安全保障関連法」これも反対は7割ともいわれ、また「テロ等準備剤(共謀罪法)」も十分な論議がなされないまま成立しました。「集団的自衛権」の解釈も変更されました。国会前に押し寄せた多くの反対者の意見を無視するかのようにいくつもの法案が成立していったという事実も忘れてはいけません。
国民の皆が賛成する意見などあり得ないことはわかっていますが、もう少し議論がされるべきだったのではないでしょうか。反対意見がこれほどまでにあるにもかかわらず押し切ってきってきた政治手法を、再度考え評価したいものです。

命を奪われたことと政治家としての評価は分けられるものです。政治家として、それまでの政治家がなしえなかった仕事をしてこられ、各国の首脳からもこれだけ死を惜しむメッセージが寄せられる安倍総理は、やはり歴史に名を遺す人でしょう。

しかし、森友学園問題で上司から改ざんを命じられ、どうしてもそのことに納得ができず、自分を責めて、自らの命を絶った赤木さんの無念な死も大変重いのではないでしょうか。

安倍さんが銃弾に倒れたことは誰がどうみても残念で悲しいことであることは間違いありません。しかし、それまでの言動が全てを肯定されるかのように国葬が執り行われるということが早々と決まったという事はいかがなものでしょうか。かたや赤木さんを死に至らしめた真実はうやむやのままというのでは、ご本人、ご家族はあまりにも無念だと思うのです。

やはり、命の重さは、おなじではないのだと強く感じました。

一覧に戻る