院長コラム(No.152 免疫チェックポイント阻害剤と免疫細胞療法)|大阪のがん免疫療法(免疫細胞治療)緑地公園駅 内科 北大阪メディカルクリニック

院長コラム

No.152 免疫チェックポイント阻害剤と免疫細胞療法

2022年04月06日

当院にがん治療で通院中されており、とても経過が順調なかたがおられます。その方は、もう1年以上も前に、主病院で「余命3ヶ月」といわれて当院に来られました。先日、来られた際にも「ここにお世話になり始めた頃は、余命3ヶ月と言われたのに、もうあれから1年以上ですよ」と笑ってお話をして下さいました。
その方は、当院に来られる2月ほど前から、主病院で免疫チェックポイント阻害剤の点滴治療を受けられていましたが、あまり効果が見られず、厳しい予後を伝えられていたようです。ところが、当院に来られて、免疫細胞療法を受けられてから明らかに腫瘍が小さくなり、今はお仕事にも復帰されて、「ここの点滴が終わったら、○時から人と会うんです」などと、精力的に仕事をされています。

これは別に「免疫細胞療法が効いた」と言いたいのではありません。免疫チェックポイント阻害剤と免疫細胞療法の両方の治療がうまく噛み合った結果だと思っています。

我々の体には、本来、癌細胞を攻撃する免疫機能が備わっています。しかし、癌はこれら免疫細胞の攻撃から自分の身を守るための手段を設けて、自分の陣地を増やそうとしています。この手段を壊すのが免疫チェックポイントの阻害なのです。
ですから、免疫チェックポイント阻害剤を投与することによって、癌を攻撃できるようになるはずなのです。しかし実際には、免疫チェックポイント阻害剤が有効なのは数十%であり、全ての癌治療に於いて高い効果が期待できるものではありません。

何故なら、がんを免疫細胞によって攻撃するには、①樹状細胞によるTリンパ球への抗原(目印)提示  ②がんが自分を守るための手段(チェックポイント)の除去・解除 ③Tリンパ球による癌細胞への攻撃 が必要だからです。

我々の体には、リンパ球という癌細胞をやっつける白血球がありますが、癌が発症する頃にはすでにリンパ球は減っていることが多く、抗癌剤治療によって更に減るなどして、癌細胞を攻撃するのに十分なリンパ球数がないことが多いのです。免疫チェックポイント阻害剤を使って、折角バリアを取り去ってあげても、もう癌細胞を攻撃するだけの余力がない、ということになります。

ですから、がんが自分を守るために作っている手段を免疫チェックポイント阻害剤で壊し、免疫細胞療法によって癌をやっつけに行く、という車の両輪のような働きができれば、治療効果は高くなると思います。

実際、最初にお話ししたかたも、当院に来る前にすでに免疫チェックポイント阻害剤を投与されていましたがあまり効果が見られませんでした。しかし、当院で免疫治療をした初回から、腫瘍が小さくなったという驚きの反応でした。免疫細胞療法は即効性がありませんから、一般的には免疫治療を初めても数ヶ月は効果が見られないことが多いのです。しかしこのかたは明らかに初回から効果が見られ、患者さんから喜びのお電話を頂いたほどでした。これは免疫チェックポイント阻害剤で免疫細胞が攻撃しやすい状況にしてくれていたから、当院での免疫細胞大量投与がすぐに効果を発揮したのだと思います。

これは、AかBかという治療方法ではなく、AもBもという治療方法がいいという裏付けだと思います。免疫チェックポイント阻害剤も免疫細胞療法も免疫治療です。しかし、がんを攻撃する方法は違います。免疫細胞療法は保険適応ではないために、なかなか併用が難しいのですが、免疫チェックポイント阻害剤でバリケードを取り去ってから、攻撃部隊であるリンパ球を送り込めば、早く強い効果がみられるのではないかと思います。

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