院長コラム(No.151 intelligence)|大阪のがん免疫療法(免疫細胞治療)緑地公園駅 内科 北大阪メディカルクリニック

院長コラム

No.151 intelligence

2022年03月19日

今の戦争は、一昔前と違って、情報戦になっているようです。
ウクライナが当初の予測に反して抗戦しているのは、他国からの武器供与だけでなく、正確な情報が提供されているからだとも。

私はロシアがウクライナにまさか本当に侵攻するとは思っていませんでした。しかし、アメリカは去年の11月のうちから、ウクライナ侵攻を予見していたというのです。ロシア軍が2月16日にウクライナ国境で行っていた軍事演習部隊を演習後一部撤退させたことで、当のウクライナ側も「侵攻はない」と思っていたようです。しかし、2月18日、バイデン大統領は「ロシアがウクライナに侵攻する」と発言し、実際に侵攻が始まりました。さらに、ウクライナ東部の親ロシア派の多いドネツクのみならず首都キエフへの侵攻も指摘していたというのです。つまり、アメリカは確かな情報intelligenceを持っていたのですね。

今の世界では、正確な情報を得るものがいろいろな意味で「勝つ」ようです。

以前にも増してこのところロシアの情報統制はかなり厳しいようで、白いプラカードを掲げるだけで警察に連行されています。そんな中、ロシア国営テレビ放送中に番組編集者の女性が「戦争反対。プロパガンダに騙されるな」というメッセージを出したことは、なんという勇気ある行動だろうと思う一方、それほど情報統制が厳しく、放送内容に嘘偽りがあるのだろうと思います。多くのウクライナ人がなんの罪も無いのに虐殺されている、一つの主権国家が蹂躙されているのに、フェイクニュースを流して軍事侵攻を正当化していることにたまらなくなったのでしょう。

さて、情報の真偽について、流されてくるものを受け取る側としては、ことの真偽を確かめるのにはそれなりの時間と労力がいります。受け取った情報を一旦疑って、そこに一手間かける。しかし、そんな手間をかける市民は一部だと言います。真偽を見極めようという気持ちが無ければ真実は見えてきません。なのに多くの人は、流された情報を鵜呑みにしてしまうと。確かに「鵜」は丸ごとですものね。吟味することなく「ごっくん」。飲み込んだものに毒が入っていようと、針が入っていようと、そのまま「ごっくん」です。お腹の中に入って毒が全身に回ってから、針が胃袋に刺さって抜けなくなってから気づいても遅いのです。

今は、いろんな情報が溢れていますし、私の職場のパソコンにも、あやしげなメールが毎日何通も来ます。親のスマホにもいろんなメールが来ているようですが、知らない人からのメールは開けないように伝えています。便利な世の中ですが、とても物騒な世の中です。コンピューターについて、その原理・構造・危うさを理解しないままにただ便利さを求めて使うことには、とても大きな危険が潜んでいます。大切な情報が瞬時にして抜き取られ、拡散し、消そうにも消せない。

今朝も、ウクライナのゼレンスキー大統領がウクライナ国民に降伏を呼びかける動画がSNSで拡散されたというニュースを見ました。これは偽動画で「ディープフェイク」という人工知能で作られたものらしいのですが、一見したところ、ゼレンスキー大統領のあの顔があの声で話をするので、「当然」信じますよね。いつものような身振り手振りは見られなかったものの、降伏を呼びかけているのだから沈んでいるのかなとも思う動画でした。ああ、怖い。

一体何を信じて、何を疑ったらいいのやら。複雑な世の中になってきましたが、少しでも正確な情報を得ようとする努力は必要ですね。

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