院長ブログ(No. 138 ケモ・ブレイン )|大阪のがん免疫療法(免疫細胞治療)緑地公園駅 内科 北大阪メディカルクリニック

院長ブログ

No. 138 ケモ・ブレイン 

2021年11月29日

抗癌剤治療のことをケモ・セラピーと言います。抗癌剤治療中、または治療後に、記憶力の低下、判断力の低下、集中力の低下など、いわゆる「頭に霧がかかったような」ぼやっとした症状をケモ・ブレインと言います。

もう少し具体的にいうと、
・普段なら何ということなく思い出せる言葉、名前などが出てこない
・同時に二つのこと(例えば洗濯機を回している間に掃除機をかけるなど)をすると混乱してしまう
・本来なら好きなこと(例えば読書をしたり、編み物をしたり)も長続きできない、など

このような症状はかなり個人差があるように思われ、ほとんど気にされないかたもおられれば、“このままこの症状がずっと続くのではないか”と不安を口にされるかたもおられます。ただ、抗癌剤やホルモン剤での治療中に起こることが多く、治療が終われば ”霧も晴れる” かたが多いように思います。

脳転移があったり、脳への放射線治療をされていたりすると、どこまでが何によるものなのか、線引きをするのは難しいです。更に、人の心は大変デリケートなので、将来への不安、それによる睡眠不足によってもぼっとするでしょう。副作用や病気による症状を緩和するために抗癌剤以外の薬を併用されていることも多く、それこそ何が原因で頭に靄がかかるのか、特定することは無理だと思います。

以前はできたことができなくなると、落ち込みますよね。それは歳をとれば多くの人が感じることで、「前はもっと早く覚えられたのに」「前は一度に2つも3つも処理できたのに」などと思います。それが、年齢によるものではなく、病気やその治療のために起こるとなると逃れることができないために余計にかなしくなる。

今、コロナ感染の後遺症として、上記のようなケモ・ブレインのような症状がある人たちがいて、ブレイン・フォグと言われています。
熱や、怪我などは誰が見てもわかりますが、心の中、頭の中は誰にも分かりません。抗癌剤治療が終わったからと言って、新型コロナウイルス感染症が治ったからと言って、このような脳内の症状が有るか無いかは、外部の者にはわかりません。 ダラダラしている、反応が遅い、仕事のミスが多い、時間がかかる、と周りから思われて辛いこともあるでしょう。

たとえば、“インフルエンザに罹った時の悪寒、発熱” となると多くの人が経験しているので「そうそう、すごくしんどいよね」とそのしんどさを共有することができます。しかし、抗癌剤治療を受ける人は一部ですし、ブレイン・フォグの症状が抗癌剤を受けている人全員に同レベルで起こるわけでもありません。新型コロナウイルスに感染した人が皆同じようなブレイン・フォグの症状があれば理解もされやすいのですが、人によりかなり差があるため難しい。「私は感染したけど、そんなにしんどくなかったよ」と言われると、“しんどい” とは言いにくい。そして一人で悩んでしまうことになります。

しかし、理解しようとしてくれる人は必ずいますし、その原因を究明しようと日夜研究はされています。症状があるのは自分だけではありません。言いにくいかも知れないけれど誰かに相談できるといいですね。

一覧に戻る