院長コラム(No.29 がん遺伝子パネル検査)|大阪のがん免疫療法(免疫細胞治療)緑地公園駅 内科 北大阪メディカルクリニック

院長コラム

No.29 がん遺伝子パネル検査

2019年06月26日

がん遺伝子パネル検査とは、がんの原因になりうる遺伝子変異を一度に100種類以上の調べる検査で、患者さんの治療の選択肢を広げるために、今月から医療保険の適応になりました。

今までは、「胃癌」「乳癌」「大腸癌」というように、癌が見つかった場所(臓器)から「〇〇癌」とよび、病理検査の結果と併せて治療を行ってきました。しかし、「がん」は遺伝子の異常が原因で発症し、原発臓器が同じでもその遺伝子の異常はそれぞれ違うことがわかってきました。また逆に原発臓器が違っていても、がんを引き起こした原因の遺伝子異常は同じであることもあります。そのため、最近では、がん治療は「臓器分類」「病理分類」だけではなく、「遺伝子の異常による分類」でも行われるようになってきているのです。

この、“癌の原因となったのはどのような遺伝子異常が起きたためか”を調べる方法として、がん遺伝子パネル検査があります。この検査が今月から保険適応になるということで先月末から何度も報道されてますが、正確に伝わっているのかちょっと心配になって、今日はこの話題を書いています。

遺伝子パネル検査では

・治療対象となる遺伝子異常が見つかる場合もあれば、見つからない場合もあります。

・異常が見つかっても、その治療薬が入手できない、または使えない事もあります。また、治療薬が入手できるとしても、承認されていなければ治療費は自己負担で高額になります。

・遺伝子異常があることが治療効果を保証するものではありませんので、十分な治療効果が得られない可能性もあります。あくまでも治療の選択肢が広がると言うことで、治療につながる割合は一割程度のようです。勿論、可能性が広がると言うことは嬉しいことですが。

そして、問題点は、「保険適応の遺伝子検査の結果に基づく治療は、標準治療が終了した後の選択肢として考慮される。」というところだと思います。

つまり、いろんな抗癌剤治療をしたけれど選択肢が無くなったら受けられる検査、言い換えれば他の治療選択肢があるうちはできない検査、ということになります。是非ともこの順番をかえて頂きたい。免疫機能が落ちてからこれらの治療を行うのでは無く、免疫機能が保たれているうちに治療ができれば有効率も更に上がるのでは無いかと思っています。医療財政が逼迫している現状では何らかの制限をかけざるを得ないのもわかるので大変難しい問題だとは思いますが、もう少し早期からこの検査を行い適切な治療ができればと願います。

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