院長コラム(No.132 新型コロナの検査のあり方について)|大阪のがん免疫療法(免疫細胞治療)緑地公園駅 内科 北大阪メディカルクリニック

院長コラム

No.132 新型コロナの検査のあり方について

2021年10月14日

発熱外来をしていると「コロナワクチン接種後、一週間経ったけどまだ微熱が続いている」「1ヶ月前に2回目のワクチンを打ったけど、昨日37.5℃熱が出た」など、いろいろなかたが来られます。最近はワクチン接種を受けられたかたが多く、接種のタイミングや症状からその多くは「新型コロナウイルス感染ではないだろうな」と思うのですが、「新型コロナ感染ではない」とは言い切れないので、結局検査をすることになります。

ニュースなどでは「ブレイクスルー感染」という言葉がよく聞かれ、“新型コロナワクチンの2回目の接種後、2週間以上経ってから陽性反応が出た場合”とされています。「ワクチンを打ったからといって感染しないわけではない」と言われれば、心配するのは当然でしょう。

しかし、大阪府の資料を見ると、今年3月1日〜8月15日までの新規感染者は8万5,642人。そのうち、ブレイクスルー感染者は317人(0.37%)で、そのうち60歳以上が半数を占めています。また、10月14日時点での大阪府のHPでは、9月1日~19日までの新規陽性者のうち、ブレイクスルーが20代、30代で1.9%、40代、50代で4.3%、60代以上で23.3%とあります。一見、ブレイクスルー感染が増えたように思えますが、これは、ワクチン接種が進んだことに依るものではないかとのことであり、やはりブレイクスルー感染の多くは高齢者が占めていることがわかります。

新型コロナワクチンの有効性はかなり高いですが、どんなものでも「絶対」はあり得ませんから、“ワクチンを打ったけど感染したのでは”と心配されるかたの気持ちはわかります。ただ、「微熱がでたら、頭痛があったら、喉が痛かったら、下痢をしたら・・・新型コロナのブレイクスルー感染かもしれない」と全てのかたにコロナの検査をする必要は無いでしょう。また、患者さんご自身も「コロナではないだろう」と思っておられるかたも多いと感じます。ただ、「検査をしないと出社できないので」と。

「心配だから」といくつかの病院で何回も検査を受けているかたもおられますが、これは感心しません。そこは医師の判断で必要が無いと思えばしなくていいでしょう。「絶対大丈夫ですか?」「出社しても良いですか?」と言われると、それはわかりません。PCR検査も絶対ではないですから、PCRが陰性だからと言って陰性とは限りません。どこまで誰の責任とするか、難しいところですよね。

新型コロナ感染はなかなか特徴的な症状がありませんから、症状でコロナを強く疑えないことはしばしばあります。後遺症や致死率などからも、今までのウイルス感染とは違う印象があり、確かに陽性者の選別は必要だと思いますが、否定できなければ全ての人に、何回でも公費で検査をするべきかどうか。ワクチン接種からの経過時間、年齢、陽性者との接触の機会、治療中の病気の有無などからある程度予測をつけて検査の必要性を考える時期に来ていると思います。

検査も絶対ではありません。医師も絶対ではありません。検査に絶対を求めるのはおかしいでしょうし、医師の判断に絶対を求めるのもおかしいでしょう。限りある資源を有効なところに使う、という観点から考えると、そろそろ「ワクチン接種後3ヶ月以内の60歳未満の方は、コロナの検査をするかどうかを医師の判断にゆだねる」となっても良いのではないでしょうか。
まだまだ会社側も「熱が出るとPCRを受けるように」と言われますし、会社の立場を考えるとそうなるのもよく理解できます。ですから、これは「会社の判断に任せる」と言うのではなく、公の立場のものがその指針を出して欲しいと思います。

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