院長コラム(No.127 互いの理解と融和)|大阪のがん免疫療法(免疫細胞治療)緑地公園駅 内科 北大阪メディカルクリニック

院長コラム

No.127 互いの理解と融和

2021年09月11日

9月5日 パラリンピックが閉幕しました。開催の是非についていろいろな意見が交わされましたが、大きな感動を我々に残してくれたことは間違いないでしょう。
そして、多分、多くのかたが今までのパラリンピックより深くパラリンピックに目を向け、心を惹かれたのではないかと思います。障がいのあるかたにどのように接したら良いのかと思っていた人も、少し距離が近くなったでしょう。

パラリンピックを見ていると、「スポーツを見ている」というより「人生を見ている」と感じました。人は、生まれながらにしておなじではありません。そして人生の途中で思いもかけず不自由になることもあります。いろいろな事情がある中で、無いものを嘆くのでは無く、あるものをいかに伸ばしていくかということを、言葉では無く、彼らの姿が我々の心に直接伝えてくれました。彼らが涙し、満面の笑顔を見せてくれるまでには、並大抵の努力ではない努力があったことは想像に難くないですが、彼らは自分が乗り越えてきた険しい道のりよりも、周りの人への感謝を述べていました。本当にきれいな心に接することができたと思います。

さて、去年年明けからの新型コロナウイルス感染症により働きかたも随分変わりました。いかに「在宅」で仕事をするかと考えるようになり、朝の通勤ラッシュ時間帯に満員電車に駅員が乗客を押し込むほどの混雑状況は、だれも想像できない世の中になるかも知れません。何が正しいのか、という価値基準は時代とともに変化していきます。

時代はいろいろな考え方に振り子が揺れながら、変わっていきます。「ゆとり教育」と言われて教科書が大変薄くなり、円周率が3になった時には、“これでは円周率の意味が理解されない”ととても心配したものですが、またその揺れ戻しは来ています。たくさん教えることがいけないのではなく、その人にあった教育方法で教育をしないのが問題なのではないでしょうか。高校生でも大学レベルの知識と知能があれば大学に行けばいいですし、高校生でも中学レベルのことが理解できていないのであればしっかりと基礎から教えてあげればいいのです。つまり、その人その人にあった環境で、その人がその人らしく成長できれば、みな人生って楽しいと感じてくれると思います。

山の上から流れてくる生まれたての水は細くて急ですが、いくつかの流れが一つになり、段々広くゆったりとおおらかな流れとなり、海に注いでいきます。人間社会もお互いが理解し合い、認め合い、融合できるところは融合しあい、穏やかな社会が創れたらいいですね。

我々は基本的に自分の経験したものでしか理解ができません。うちのクリニックには癌のかたが多く来られますが、何百人、何千人もの癌のかたとお会いしても、そのかたの気持ちがわかるかと言われればわかりません。また、癌患者さんの中でも、病気の種類が違うとか、病期が違うとか、いろいろな違いがありますので、本当にわかり合えることは無理だとは思います。しかし、「わかろうと心を開く、心を向ける」事はできると思うのです。

障がいの違い、宗教の違い、人種の違い、経済状態の違い。78億人いれば、78億の違いがあります。日本に住んでいて、他国の厳しい状況がわかるかと言われればわからないでしょうが、少しでも知ろうと思い、わかりあおうとすれば、一つの大きな「海」に近づけるのではないかと思います。

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