院長コラム(No.126 自分の身は自分で守る)|大阪のがん免疫療法(免疫細胞治療)緑地公園駅 内科 北大阪メディカルクリニック

院長コラム

No.126 自分の身は自分で守る

2021年08月22日

新型コロナウイルスの第5波は一日の感染確認者数が25,000人を超え、重傷者と言われる人が2,000人になろうとしています。この感染拡大のスピードに医療はとても追いついていけず、新型コロナウイルスのモニタリング会議などでは、「自分の身は自分で守るように」と発信しています。これに対して、“突き放した言い方だ”と批判の声があるようですが、今の日本の状況下で「自分の身は自分で守る」以外に方法はあるのでしょうか。

つまりこの言葉は「感染対策をきちんとしてください。感染のリスクがあることはしないで下さい」と言っているだけのことであって、なにも“対策をきちんとしている人が感染しても診ない”などと言っているわけではありません。

「遊泳禁止区域で泳いでおぼれた人を助けるのは当たり前か」「滑走禁止区域の雪山で遭難したら、それを助けるのは当たり前か」ということです。実際には命の危険があるから、と捜索・救助しに行ってくれますが、それこそ自己責任ではないでしょうか。自分からコロナの感染リスクの高いことをしているのであれば、その結果も自分の責任でしょう。それを、その結果だけから「感染したのだから、医療従事者は診るのが当たり前」というのはおかしいのではないかと思います。

緊急事態宣言が出ていようが出ていまいが、節度をわきまえて行動する人はきちんとしています。そしてそのような人のほうが多いと思います。ですから自分を律することができる人が、どこで感染したかわからないのにかかってしまった場合、医療従事者は一生懸命治そうとします。
しかし、自分を律することもできず、外食してはマスクを外してしゃべり、路上飲みをし、友人の家に複数名が集まり何時間もアルコールを飲む、などの感染のリスクがあるようなことを行い、「自粛に疲れた」「緊急事態宣言に慣れた」といって新型コロナウイルスが広がる前と同じような行動をしていれば、感染が収まるはずがありません。毎日発熱外来の患者さんを診ていると、残念ながら“感染するべくして感染した”と言わざるを得ないような人がおられるのです。

毎日、ニュースでは感染確認者(≠感染者)の人数を言い、「感染拡大が収まらない」と言ってますが、収まるようなことをしていないのですから収まらないのは当然で、これで治まったら不思議ですよね。

「コロナの方を診る」と言うことは、「他の病気で診てあげられない人が出てくる」ということです。当院でもコロナ感染の可能性がある方には、防護服を着て、フェイスシールドをつけ、マスクをして対応しますが、診察・検査が終わって患者さんが出られた後は、椅子、体温計、酸素濃度測定器、筆記用具などの消毒をし、我々スタッフもすべて着替えてから次の患者さんに入っていただきます。高血圧や糖尿病のかたを診るのとは違って明らかに時間がかかるのです。

医師や看護師がどこからか湧いてくるはずはなく、コロナの患者さんに人手をとられれば、診てあげたい人を診てあげられなくなるのです。救急隊員が受け入れ先の病院を探すのに5時間、10時間、長い時には24時間近く探しています。しかし、それでも見つからない場合があるのは皆さんもご存知でしょう。その間に、心筋梗塞、脳内出血、交通事故と救急を要する患者さんがいても、救急隊は以前のように駈けつけることはできないのです。

だからそうならないように「自分の身は自分で守ってください」と言っているのです。自分を律することができず自分が感染して、他の人に移し、その人に関わる多くの人の手を奪うと言うことは、間接的に人の命を奪っているということです。

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