院長コラム(No. 125 日々の診療で)|大阪のがん免疫療法(免疫細胞治療)緑地公園駅 内科 北大阪メディカルクリニック

院長コラム

No. 125 日々の診療で

2021年08月17日

当院は、がんの免疫治療をしています。「免疫治療」「免疫細胞療法」というと、眉をひそめる医師がまだまだ多いことは知っています。
しかし、どのような患者さんが当院を訪れるのでしょうか。当院を訪れる患者さんの多くは、手術後、抗がん剤治療をしたけれど再発した人。診断がついた時点で手術適応ではなかったため抗がん剤治療をしたけれど効果が無くなってきた人などです。つまり、手術で治しきれていれば、または放射線治療、抗がん剤治療で治しきることができていれば、当院が存在する必要はありません。当院があると言うことは、手術、放射線、抗がん剤などの治療では治せないがんがある、ということなのです。

免疫治療で多くのかたが良い方向に向かうわけではありません。しかし、3年、5年経過してもおちついておられ、“このまま治るのではないか”と思われるかたもおられます。「最初に病気を見つけてくれた医師にこの前会ったら “4年前にこの病気が見つかった時、会うのはこれが最後だと思った” と言われた」と先日お話してくださったかたもおられました。

免疫治療だけが不完全なのではなく、手術も放射線も抗癌剤もまだ不完全なのです。ですから、「免疫治療は不完全だ」と突き放すのではなく、不完全なもの同士、補い合えればいいと思うのです。正直なところ、「厳しい状況になってからの免疫治療の効果」と「初診からの諸々の治療効果」を比較して、「免疫治療は効かない」と言われるのはちょっと心外ではあります(笑)。

また、当院には、上記のような治療が功を奏しなかったかただけではなく、大変珍しい病気のかたも来られます。
聞いたことない病気のため調べてみると、最近新しく分類されたものだったり。国内で年に数名のみ診断されるような病気だったり。病気分類の最後の「その他」に小さく書かれた病気だったり。つまり、ガイドラインが無く、どのような治療方法がよいのか、どのような抗がん剤が良いのかがわからない。ですから「何とかしたい」と当院に来られるのです。
珍しい病気にであった時、「うちでもちょっと診れません」と言っても多分いいでしょう。大病院でそういわれたわけですから。「小さな町医者で診れない」のは当然かもしれません。

ガイドラインは多くの症例を詳細に検討した結果から導き出された最良とされる治療方法ですからそこに沿って治療をしているうちは良いのです。しかし、そのガイドラインの治療をし尽くした時、または、まれな疾患でガイドラインが存在しないとき患者さんは当院に来られます。

「主治医には治療方法がないと見放されたけど、なんとかならないか」「治らなくても、なんとか進行を抑えて欲しい」いろいろな言葉を聞きます。そして、私も良くなって欲しいと思います。しかしそこにはしばしば勇気がいります。治療をすることによって悪くなったらどうしよう、という恐怖があります。

症例数の多い固形腫瘍の場合は怖さはありませんが、以前コラムに書いた急性白血病のかたのように、経験したことのない治療は非常に怖いのです。他の医師にも相談し、「理論的に考えれば、大きな副作用はないのではないか」ということで治療をしましたが、知らない事、まだ解明されていないことは山のようにあるわけで、「治療をすることによって悪くなったらどうしよう」と胃が痛くなり、吐き気を催すほど悩むものです。
「なんとか良くしてあげたい」と思う気持ちと「治療することによって寿命を縮めたらどうしよう」という恐怖が葛藤しています。手術でも抗癌剤でも、これらの治療をすることによって命を縮めることはあるわけですから、免疫治療だけのことではないのですが。
・・・そう思いながら、日々診療をしています。

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