院長コラム(No.120 虚無感がはしる現代)|大阪のがん免疫療法(免疫細胞治療)緑地公園駅 内科 北大阪メディカルクリニック

院長コラム

No.120 虚無感がはしる現代

2021年07月04日

国家安全維持法に違反したと言うことで、1995年に創刊された香港の「リンゴ日報」がついに2021年6月24日に廃刊に追いやられました。

300人とも3000人ともいわれる死者をだした1989年の天安門事件に始まった中国の民主化運動も今や完璧に抑え込まれているように思います。先日の中国共産党創立100年の祝賀式典を見ていると、習近平氏の一党支配、習主席の神格化に恐ろしさを感じました。

人は其々背景が違うのですから同じ思想を持つわけはなく、いろいろな考え方を持つのは当然です。しかし、それを力で無理やり一方向に向かせようとすることには明らかな無理があり、無理はいつか破綻します。

政治的なことに関しては無知な私ですが、北朝鮮、中国、ロシアなど、実質一党独裁国家には共通する恐怖と不安を感じます。

今年2月に軍のクーデターに端を発したミャンマーでは、軍による市民の無差別な弾圧、虐殺がみられ、1000人近い市民が殺害されたといいます。つい先日、1000人とも2000人ともいわれた逮捕者が釈放されましたが、いまだに、国軍側が弾圧を弱める気配はありません。ミャンマーは昔ビルマと呼ばれ、私の年代では「ビルマの竪琴」の話で知られた美しい多民族国家ですが、無抵抗な市民に銃を向けゲームのように殺戮している映像には、人間はここまで残酷になれるものかと吐き気を催しました。

名古屋入管に収監されていたスリランカ人女性が死に至った問題もすでに忘れ去られてようとしています。日本という国に夢をもってきてくれた他国の人をこのような姿でかえす現状はなんとしても変えなくてはいけません。“人が一人死ぬ”という重さを何だと思っているのでしょうか。一生懸命学んだであろう日本語で書いた「ほんとうに いま たべたいです」という文字を見た人は、それでも心を揺さぶられなかったのでしょうか。

「技能実習生」という名の元、「安価な労働力」として外国の若者を虐げていることも大きな問題です。日本の若者が嫌がることは、他国の若者に押し付ける、というのでは、仮に今は良くても、将来は見えています。

先月6月22には、森友学園の国有地売却問題をめぐる財務省の文書改竄の経過が書かれた「赤木ファイル」が開示されました。近畿財務局の元職員・赤木俊夫さんが、上司から改竄を命じられた経緯が記されていると言います。当初、このようなファイルの存在さえ否定した麻生太郎氏は、口角に笑いを浮かべながら会見に応じたものの、謝罪の言葉一つ口にしていません。

なにか全てにおいて、間違った権力によって捻じ曲げられていっているように思うのは私だけではないでしょう。これは最初に書いたような“他国の問題”ではなく、日本においてもひたひたと一党独裁化が忍び寄っているのではないでしょうか。野党と呼ばれる政党の不甲斐なさを感じます。

去る4月30日、「知の巨人」といわれた立花隆さんが亡くなりました。私の年代では田中角栄のロッキード事件でその名を知ったという人も多いと思いますが、何が正しくて、どこが間違っているのか、「知りたい」という探求心は底なしでした。人は必ず亡くなるものですが、やはり大変もったいない方が亡くなったと思います。

このような世界情勢や国内情勢をみて虚無感を覚え、「頑張らなくてもいいじゃない」「今が楽しければそれでいいんじゃない」という風潮が広がってしまうとしたら、日本の将来をつよく憂慮します。

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