院長コラム(No.116 保険診療と自由診療)|大阪のがん免疫療法(免疫細胞治療)緑地公園駅 内科 北大阪メディカルクリニック

院長コラム

No.116 保険診療と自由診療

2021年05月30日

当院は、自由診療と保険診療と両方の診療をしています。自由診療ではがんにたいする免疫治療。そして保険診療では高血圧、糖尿病、痛風など、一般内科を診ています。ただ、元々は、免疫治療専門のクリニックでしたので、画像検査をしたり、血液検査の結果をすぐに見ることができないため、急を要する患者さんは他院を紹介しています。

さて、先日、免疫治療のご相談に来られたかたとお話をしている際に、「免疫治療を自費で受けようとしても、なんかそのことを人には言えない。自分が一生懸命働いたお金で、自分の受けたい治療を受けようと思っているのに、何故か人に言いにくいんですよね」とおっしゃるのです。
今までにも、「免疫治療は良い治療方法だと思うのだけれど、なかなか人に勧められない」という声を聞いたことがあります。確かに免疫治療は高いですから、「“私にはそんな治療は受けられない”といわれると、それ以上なんとも言えないです」と。そして「免疫治療が保険適応にならないですかね」とも。

私も心のどこかで、「保険診療は平等で、自由診療は不平等」という意識がありましたが、そのかたが仰るように「自分が頑張って働いたお金で自分の受けたい治療を受けるのは誰にも迷惑をかけていない」のです。逆に「保険診療は他人のお金で自分の病気を治して貰っているんですよね」という言葉に妙に納得してしまいました。

現在、高血圧の患者さんは4000万人を越え、糖尿病の患者さんは強く疑われる人も含めると2000万人を越えていると言われています。このように生活習慣病で薬を貰っている人は何千万人もいます。保険診療ですから、1割負担、3割負担となると実際に払っている金額はそれほど高くないでしょうけれど、あくまでも残りの医療費は他人様が払ってくれている、という認識が必要だと思います。

今、二人に一人ががんになるといわれている日本で、免疫治療も保険適応にするだけの体力は政府には無いでしょう。現在、年間の歳出額は100兆円を超えています。単純計算すると国民一人あたり、年間100万円近い費用がかかっていると言うことです。道路整備、学校、図書館、公園、医療、安全、衛生、災害復旧等々、少し考えただけでも多額のお金が必要ですよね。

このような状況で、更に免疫細胞療法、樹状細胞ワクチン治療などまで保険適応にできるかと考えると厳しいのが現実でしょう。折角日本の地に暮らしているのですから、良い医療を受けて欲しいとは思いますが、全ての病気に保険適応として今の負担額となると、将来どうなるかは容易に想像がつきます。

私は、神経疾患だったり、遺伝性疾患だったり、遺伝子疾患だったり、就労が困難な病気などは、広い範囲を保険でみるのが良いと思っています。しかし、例えば、食事療法や運動療法などで薬が不要になるような病状に対してまでも現在の負担額でいけるほど、日本は豊かではないでしょう。必要な人に必要な医療を適切に届けることが大切なのです。

そのかたは「今の日本の財政で免疫治療などの自由診療を保険適応にすると、それこそ税金が増えるんじゃないですかね。」と。う~ん、なるほど。私は財政に関しては全くの素人ですから、税金と医療費の関係はあまりわかりませんが、今一度、医療制度、負担割合などについて考える時期が来ているのではないでしょうか。

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