院長コラム(No.114 手術ができるということ)|大阪のがん免疫療法(免疫細胞治療)緑地公園駅 内科 北大阪メディカルクリニック

院長コラム

No.114 手術ができるということ

2021年05月12日

当院には癌の患者さんが多く来られます。そして時に「手術をせずに免疫治療で治して欲しい」と仰るかたもおられます。
特に、乳がんや子宮がん、前立腺がんなどでは、なんとか手術せずに治せないものかと思うのは当然の心情だと思います。しかし、「手術ができる」ということは「治癒」への大きな一歩になります。治療する側からすると、「手術ができる」と言うことは素晴らしいことで、一つの大きなハードルを越えたことになるので、もし手術を勧められているのであれば受けて頂きたい。

「手術ができない」と、どうしても「治癒」という言葉が少し遠のいてしまいます。やはり手術で大きな腫瘍を少しでも多く取り除く、というのは治癒に向かう大きな一歩です。
手術ができるかどうかを判断するためには、癌の場所、大きさ、数、転意の有無など、いろいろな条件がありますが、それ以外にも、循環器(心臓)の機能、呼吸器(肺)の機能、また、止血機能など、いくつかの問題をクリアして初めて手術を受けることができます。ですから、手術ができると言うことはいろいろな意味に於いて“良かった”と思うのです。

「体にメスを入れずに治せないものだろうか」というのは当然の感情ですが、手術ができることは治癒への確かな道です。もちろん、がんにならないのが一番です。しかし、今の時代、二人に一人は癌になるといわれているこの時代、誰もががんになる可能性はあります。戦後のように平均寿命が50歳前半であれば、がんになる人も少なかったのですが、平均寿命が30年伸びた今、誰しもこの病気になる可能性はあります。

ですが見方を変えれば、患者さんが増えたことによって、技術も向上しています。術中の死亡率、合併症もかなり減りました。
確かに、手術による機能喪失、外見上の変化、精神的なストレスなどの問題もありますし、たとえ虫垂炎の手術であっても一度メスを入れると、身体の不調が残ることはあります。しかし、やっつける相手を減らすと言うことは大切な事で、取り切れればすばらしいし、取り切れなくてもボリュームを減らすと言うことは有意義な事だと思います。

例えば肺癌、例えば膵臓癌。これらは見つかった時にすでに手術が難しいことも珍しくありません。ですから癌が見つかった時に、「手術の予定は○○」とか「△△の抗癌剤をしてから手術をしましょう」と言われたら、まずは一歩前進と考えて頂きたい。そしてもし、癌が見つかったときには手術の話が出なくても、抗癌剤や免疫治療などの治療後に「手術」というお話が出たら、喜んで頂きたい。
化学療法も本当にいろいろな薬が見いだされました。分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤など、私がこの世界に入った頃には夢に描いたような薬が現実にあるのです。ですからそれらを使って治療をして、明日につなげたい。いま、手術ができなくても、医学は日進月歩。いつブレイクスルーがくるかも知れません。

先日、ある主治医から「Aさんの根治切除ができました」とお手紙を頂きました。その方は病気が見つかった当初は手術ができなかったのですが、当院に数ヶ月通院後手術を受けることになりました。「根治切除」=「治癒」ではありませんし、まだまだ乗り越えないといけない事はあります。しかしこれは、大きな前進です。こうした一つ一つの積み重ねが、将来の「治癒」につながるとの思いを強くしました。

一覧に戻る