院長コラム(No.112 想像力をもって)|大阪のがん免疫療法(免疫細胞治療)緑地公園駅 内科 北大阪メディカルクリニック

院長コラム

No.112 想像力をもって

2021年04月21日

新型コロナウイルスの変異株の感染が急拡大しており、ここ大阪の陽性者数は本日1242人。このところ毎日1000人を越えています。この数字を見て、皆さんはどのように想像されるでしょうか。感染者が毎日1000人以上ふえるということは、それに対応する保健所の職員や医師看護師などの医療従事者が必要であり、治療するためのベッドが必要であると言うことです。つまり、毎日1000人を越える患者さんに対応するなどということが無理なことは容易に想像できますよね。

当院は発熱外来をしていますが、4月に入った頃から外来受診をする人が増え、新型コロナ陽性者もみられます。多くの人はまじめに感染対策をされているとは思いますが、中には「飲みに行った」「カラオケに行った」「マスクはつけてない」「会社のミーティングは居酒屋」などという人もいます。これは店側の問題ではなく、飲食にいく人の自覚の問題です。

自分をコントロールできない人たちは、毎日何百人、何千人と感染者が出るということの意味を、その先にどのような状況が広がっているのかを想像できないのでしょうか。「自粛に疲れた」「自粛と言われることに慣れてしまった」と言うけれど、ウイルス感染が人を介するものであることさえわかっていれば、今何をしなければいけないのかわかりそうなものなのですが。

医療従事者は使命感で患者さんを診ています。しかし、感染者を診ることで自分自身が感染するのではないかと日々不安に思い、家族に感染させるのではないかと家に帰ることを躊躇し、家に帰ったとしても話しかけてくる家族に「近づかないで!」と声を荒げる自分自身に涙しているのです。

物事には想像力が必要です。自分の愚かな行動が、その先どこにつながっているのか。自分の浅はかな行動が他人の命を奪っているかもしれないという想像力がないままに行動している人を見ると、むなしさと怒りを覚えるのです。

想像力の欠如。これはネットでのいじめの問題もそうですし、プラスチック汚染問題などもそうです。コロナ禍でペットを買っては飼えずに捨てるというあまりにも無責任な行いも、その場しか考えない、その先を想像できない結果でしょう。

「自粛疲れ」という声を聞きます。確かにそうですよね。我々医療従事者も十分疲れました。日常生活での自粛だけでなく、自分が感染するかも、家族が感染するかも、そしてそれが命にかかわるかも、という恐怖感の中で1年以上。「もう疲れた」って言って良いですか。

東京女子医大で医師の退職者が100人を越えたとか。コロナの影響があったのかどうかは知りませんが、これが負のスパイラルの始まりで無ければいいのですが。病院はとてもブラックな業界ですから、サービス残業なんて普通ですし、過労死ラインなんてすぐに越えます。しかし、そこには「困っている人を助けたい」という心があって頑張っているのです。

浅はかな行動をしている人たちは、自分たちの行動が、飲食、芸術、旅行、全ての頑張っている人たちに対してどのように作用しているのか、想像力をもって欲しいと思うのです。
自分の行為がどこにつながっていくのか。「人に言われたから」ではなく、自分の行動がその先何につながるのかくらいの想像をして、責任を持って行動して欲しいものです。

一覧に戻る