院長コラム(No.108 日本のワクチン開発について)|大阪のがん免疫療法(免疫細胞治療)緑地公園駅 内科 北大阪メディカルクリニック

院長コラム

No.108 日本のワクチン開発について

2021年03月09日

日本の新型コロナウイルスに対するワクチンの開発は遅れています。先月2月24日に更新された厚生労働省のホームページ(HP)の国内でのワクチン開発状況を見ると、アンジェスがDNAワクチンを、KMバイオロジクスは不活化ワクチンを、塩野義製薬は遺伝子組み換え蛋白ワクチンを開発中で、その他にも2社がmRNAやウイルスベクターを用いたワクチンを開発しているようです。しかし、これらワクチン開発に支払われる研究費は多くても20億円、少ないところでは1億程円(5社の総額47億5400万円)です。また生産体制等緊急整備事業費として60億~223億円(HP記載の4社の総額438億円)の補助をするとあります。

現在、日本政府のコロナワクチンの供給は海外頼みで、2020年11月29日の日本版ニューズウィークに「米国のファイザーとモデルナ、英国のアストラゼネカとの間で計2億8000万回分の購入について基本合意にあるようで、その調達のための費用は6714億円」とあります。しかし、この額を考えると国内での開発研究費があまりにも少ないのではないかと思います。また、健康被害が起きた場合、責任は日本側が負うというのですから、とても不思議ですよね。作って売った方に責任は無く、買って使ったほうに責任があるというのですが、”売って頂く”から仕方がないのでしょうか。

今後も感染症は、国の行く末を決める大きな問題になると思いますが、どうも日本政府には危機感が薄いように感じます。「何かあればお金を出して買えばいい」というのは危ない考え方です。世界の感染状況によってはお金を出しても買えない事もあり、またそのお金もないかもしれないわけで、そうなったら国の存続にかかわります。

以前、日本にも国立研究機関における基礎研究と民間企業の開発研究を資金的に橋渡しする厚生労働省外郭の財団はあったようですが、民主党政権時、「事業仕分け」で否定的な意見が出たと言います。政治はパフォーマンスではありませんから、将来のビジョンを見通す目が政治家にはとても大切になります。

1975年に生物兵器禁止条約が発効し、生物兵器は開発・生産・保有も禁止されていますが、全ての国々が守っているでしょうか。生物兵器として使おうとしている人・国があるかもしれません。また、今の地球環境や経済の流れ、人の動きからしても、今後更に感染症は国を超えて広がるでしょう。菌・ウイルスというのは目に見えないだけに、防ぐのが大変困難で、一旦入り込んだら全てを滅ぼしてしまう可能性も否定できません。

SARS、MERS、新型インフルエンザといろいろなウイルスが流行したのに、日本でのワクチン開発、研究の動きは遅い、つまり支援が少ないように思います。以前も書きましたが、直ぐに結果が見えないと研究費は出しませんというのでは、将来は先細りになります。日本には大変優秀な科学者、研究者がいるのにもったいないなあ、海外からワクチンを買う予算を国内のワクチン開発費用にあてることができないのかなあ、と素人である私は思います。感染症は今回だけの問題ではありません。今後更に「新型」の感染症の出現間隔は短くなっていくでしょう。

政治家の方々は直接的にも間接的にも国民の命を任されているのですから、広い視野に立った、先を見据えた判断を是非お願いします。

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