院長コラム(No.25 今、何のために治療を受けているのか)|大阪のがん免疫療法(免疫細胞治療)緑地公園駅 内科 北大阪メディカルクリニック

院長コラム

No.25 今、何のために治療を受けているのか

2019年05月29日

当院に来られているがんの患者さんから「主治医から、もう治療方法が無いと言われて驚きました」という話を聞くことがあります。
がんと診断されると、手術・放射線・抗癌剤治療などの治療方法の提案があると思います。多くの方は手術や放射線治療は回数に制限があるということはご存知だろうと思います。しかし、抗癌剤はなんとなく、「今の薬が効かなくなったら、次の治療薬があるだろう」、と思っていらっしゃる方が多いのではないでしょうか。確かに、高血圧も糖尿病も多くの場合「次の手」がありますよね。でも、抗癌剤はそれほど種類があるわけではありません。

また以前にも書きましたが抗癌剤で「効果がみられる」ことと「治る」ことは別なのです。効果があるとは「腫瘍が小さくなる」、または「腫瘍が大きくならない」ということですから、例えば「奏効率30%」といわれても、「この抗癌剤を使えば30%の人は治る」わけではありません。厳しい話ですが、血液がんや一部の固形腫瘍を除き、抗癌剤自体、治癒を目的とはされていないのです。

高血圧は薬によって血圧をコントロールします。糖尿病も薬で血糖をコントロールします。どちらも「治す」のが目的では無く、「コントロールする」のが目的です。同様に、癌も薬で「治す」のは至難の業です。その上「コントロールする」のも難しい。

なぜこのようなお話をしているかというと、治療方法には限りがあるということを知って欲しいのと、辛い抗癌剤に耐えて治そうと思って頑張りすぎないで欲しいからです。
今、自分が受けている治療は何のためなのか。「治療」という大きな流れの中の自分は今どこら辺りにいるのかを知って頂きたい。自分が自由に使える時間はあとどれくらいなのか、数か月なのか、数年なのか、10年くらいなのかということを知ることは、必ずしも悪いことだとは思いません。勿論、知ることがマイナスになるかたもおられるでしょうから、みんなが知るべきだとも思いません。しかし、今、自分はなんのために治療をしているのか、痛みや副作用に耐えて、多くの時間を費やして何のために頑張っているのか。立ち止まってみることも大切だと思います。そうでないと、ある日主治医から「もうこれ以上治療方法はありません」と言われて、残された時間に驚くことにもなりかねません。

広い意味での抗腫瘍薬剤は分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤などが開発され、癌の治療に明るい光が差し込んでいるのは確かです。しかし、やはり癌が手強いことも否めません。自分が受けている治療が、何の目的で行われているものであり、他の治療方法にはどのようなものがあるのか、を考えてみることは大切だと思います。

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