院長コラム(No.104 白血病の免疫治療)|大阪のがん免疫療法(免疫細胞治療)緑地公園駅 内科 北大阪メディカルクリニック

院長コラム

No.104 白血病の免疫治療

2021年02月03日

5年程前のことですが、ご高齢の急性白血病のかたがご家族と来院されました。ご家族が仰るには「急性白血病で一回抗がん剤治療を受けたけれど大変辛そうである。それにクリーンルーム内で点滴をひっぱったりして危なかったので、もう抗がん剤治療は受けさせたくない。かわりに免疫治療で治してもらえないだろうか」とのこと。
白血病の治療を長年してきた私としては、「急性白血病を免疫治療で治療するのはとても無理」と思われましたので、「1回しか抗がん剤治療をしていない急性白血病は、直ぐに再発するだろう」「とても免疫治療で治せるとは思えない、コントロールするのさえ無理」とご説明致しました。

しかし、ご家族は「抗がん剤治療は見ていて辛すぎる。かといって何もしないでいるのも辛い」と仰られました。私は「リンパ球を培養している二週間の間にもまた白血病細胞が増えてくる可能性は充分にある」ことをご説明のうえ、免疫治療を開始しました。
そうしたところ、私の不安は見事に外れ、白血病のマーカーであるWT-1は下がっていき、3回目の治療後の採血では基準値以下にまで下がりました。その後も基準値以下が続き、全身状態も改善されたため、ご自宅近くの関連病院に移られました。ご家族から半年に一度ほどご連絡を頂きますが、お元気に過ごされているとのことです。

急性白血病の治療は、白血球をゼロにするまで抗がん剤を使うため、固形腫瘍の治療と比較しても抗がん剤の投与量がかなり多いのです。また、白血球が減っている期間は、感染症にかからないようにクリーンルームで過ごすことが必要になります。しかし、ご高齢の方は入院などで環境がかわるだけで認知症が進みやすくなります。まして、抗癌剤治療でしんどいときにクリーンルーム内で一人で過ごさなければならないとなると、清潔を守って頂くことも難しくなったり、足腰が弱ったり、点滴を引っ張って危険になったりすることもあります。

ですから、ご高齢の方の白血病の抗がん剤治療は難しいのです。しかし、このご家族の強い気持ちにおされて免疫治療をした結果、私の心配をよそに大変元気になられ外来に通院されていました。このかたにお会いするまでは、「急性白血病には大量抗癌剤治療」と考えていた私にとっては大変な驚きでした。

血液がんは抗癌剤で治る可能性があるため、免疫治療を受けられるかたはまずおられません。しかし、高齢者の白血病の治療は、個室管理の面でも、臓器の機能面からも困難な場合が多いと思われます。もちろん、すべての急性白血病のかたが、このかたのように良くなるわけではないでしょうけれども、免疫治療が何らかの良い効果を示したといえるのではないでしょうか。「ひとつひとつの症例、一人一人の患者さんが究極のエビデンス」といったかたがおられましたが、第一選択では無いにしろ、血液がんにも免疫治療という選択肢があるのではないかと思わせてくれたかたでした。

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