院長コラム(No.85 車の運転の是非)|大阪のがん免疫療法(免疫細胞治療)緑地公園駅 内科 北大阪メディカルクリニック

院長コラム

No.85 車の運転の是非

2020年08月19日

今年はお盆の帰省ラッシュは例年のようには見られなかったようですが、この時期は普段あまり車を運転しない人が運転して田舎に帰ることも多く、やはり事故のニュースが聞かれました。

自動車事故では、「高齢者のアクセルとブレーキの踏み間違え」や「てんかん患者さんの発作」、また「脳血管障害による意識消失」などが原因とされるものも見られます。確かに、車は1-2トンの鉄・アルミなどの塊で、それが時速数十キロ、時に100キロを超えるスピードで突っ込んでくるわけですから、危険なことこの上無いわけです。

また、あまりニュースでは聞かれませんが、日頃患者さんを診ていて気になるのは、脳腫瘍のかたで自分で車を運転してこられるかたがいらっしゃるということです。原発性脳腫瘍は年間10,00015,000人ほどのかたが発症されますが、それ以外にも肺癌や乳癌からの転移性脳腫瘍のかたも多く、数万人はおられると言われています。

外来通院されるかたで原発性・転移性脳腫瘍の方や、四肢に軽度の麻痺のある方に「危ないから自分で車を運転するのは控えて下さいね」とお願いしても、不自由だからこそ車での移動が欠かせないのであり、なかなか難しいのが実情だと感じます。

車は大変便利な移動手段ですから、公共交通機関を使いづらい高齢者や病気の人にとっては余計に手放せません。今や、70歳以上の高齢者は2700万人を超え、80歳以上の高齢者は1100万人を超えています。てんかんの患者さんは100万人とも言われており、悪性腫瘍の方や、心・脳血管障害のリスクをかかえている方も運転しているわけです。

若者の無謀運転や、薬物・アルコール摂取後の運転を考えれば、故意に行われる許されざる危険運転はたくさんあります。高齢者=危険運転、病気を抱えている=危険運転というわけではありません。しかし、自分の意志や努力とは関係なく、老化現象による反応や判断力の低下、病気による思わぬ動作は起こるものです。それこそ誰が悪いわけでもありません。ですが、そのことにより他人に害を及ぼすと言うことになれば、やはり考えざるを得ないと思います。

病気や年齢で一律に免許返納を要請することに関してはいろんな意見があると思いますが、被害者の立場を考えると「なぜそのような状況で運転したのか」と怒りがわいてくるのも頷けます。

今後、高齢社会がますます進み、医学が進歩するに従い病気を持ちながら生活をしていくかたも増えていくでしょう。

世の中には、いろんな「権利」があります。それぞれの立場によって主張する「権利」は違ってきます。さて、これからの時代、いろんな物事にどこで折り合いを付ければ良いのか。それぞれの時代で、その時代特有の悩み・問題があるものだなと思います。

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