院長コラム(No.80 ラストチャンス)|大阪のがん免疫療法(免疫細胞治療)がん治療 北大阪メディカルクリニック

院長コラム

No.80 ラストチャンス

2020年07月15日

我々は、「人間」にとって住みやすい世界をつくってきました。川に水をくみに行っていたのが井戸ができ、水道ができ、蛇口をひねればきれいな水が出る時代になりました。葉っぱにものを包んでいたものが、紙や布ができ、今は、プラスチックの容器、袋という便利な入れ物ができました。

通信、移動、日常生活、本当に“便利”になりました。しかし、これらは「人間」にとって便利なだけであって、他の生物はこのような変化を喜んでくれたのだろうか、と思うのです。「人間という生き物」にとっては、都合が良く、便利なことが、「他の生き物」にとっては大変迷惑なことなのではないのか。

一度便利を手にするとなかなか不便な生活には戻れないかも知れません。しかし、電車で通勤せずに自転車で走ったり、歩いてみたりすると季節や風の匂いを感じるものです。見えなかったものが見えてきます。

「何十年に一度」の災害が毎年のように起こり、普通の風邪をおこすウイルスがSARSやMERSのような致死率の高い性格に変わり。これは、自然がなんとかして、あまりにも身勝手な我々に忠告してくれているのではないかと思うのは私だけではないでしょう。

「自然破壊や気候変動が今後も続けば、今回のコロナウイルスのような病気が増える」と、7月6日、国連が発表しました。人間が自然を破壊し、動植物の居場所を奪うことにより、動物と人間の間で感染する病気「ズーノーシス(zoonosis)」が増えるだろうと警告しているのです。

広い土地をどんどん開墾していく。養鶏場で桁違いの鶏たちを飼い、卵を産ませ、肉を奪う。ひとたび、”鳥インフルエンザウイルス”にかかった鶏が見つかれば、すべての鶏たちは「殺処分」という「もの」扱いの言葉で殺される。

アフリカのボツワナで350頭ものゾウが大量死しているのが見つかったと先日のニュースにありました。何が原因かは未だわかりませんが、とにかく、あちらこちらで地球が壊れてきているのは間違いないでしょう。異常気象、昆虫の大量発生、動物の大量死。

今、立ち止まって、「人間」が向かっている、向かおうとしている方向は本当に正しいのか、考え直す必要があります。東京と大阪間を2時間半では無くて3時間で行き来しても良いのでは無いでしょうか。毛皮のコートを着る必要も無いでしょう。勿論、それによって奪われるものが無いのであれば良いけれど、それによって、自然が奪われ、生き物が「もの」として扱われ、殺されるのではあればそれは間違った方向に進んでいると思うのです。

2002年のSARS、2012年のMERS、そして2019年のCOVID-19。自然が我々に「もういい加減にしたらどう?」「今まで、なんども警告してきたけど、まだわからないなら、もうこれ以上言わないよ」と言っているように思います。人間の進もうとしている方向が間違っているのではないか。今、しっかりと立ち止まって、根本から考え直す、最後のチャンスを自然から与えられたのではないでしょうか。

人間は「動物」のなかのひとつの生き物です。他のものを支配する、押さえ込む存在ではありません。「自分が」「人間が」では無く、「自分と」「他の生物と」という平和な共存の道を考え直さないと、本当に取り返しが付かないことになるでしょう。

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