院長コラム(No.78 「異常無し」という難しさ)|大阪のがん免疫療法(免疫細胞治療)がん治療 北大阪メディカルクリニック

院長コラム

No.78 「異常無し」という難しさ

2020年07月01日

新型コロナウイルス感染の再拡大が懸念される中、少しずつではありますが、感染拡大防止と経済活性化の両輪を廻すべく、経済活動の再開が試みられています。そして、社会活動再開に当たり、「感染していないことを証明してもらうように」といわれたかたからのお問い合わせを頂きます。しかしこれは大変むずかしいのです。

これはなにも “町の開業医での検査が難しい” と言うのではなく、検査が100%正しく判断できるものではない以上、「陰性」「陽性」は絶対ではありません。仮に「陰性」だとしても、「今は、感染していないだろうと思う」とはいえても、「今、感染していません」とは言いきれないのです。ましてや、将来的に感染しないことの証明にはなりません。明日感染するかもしれないのです。

これは、市民検診や会社の検診でもそうですし、入院して行われるいろんな検査もそうです。検査で何が難しいといって、「異常なし」と言うことが難しいのです。

逆に言うと、レントゲンを撮って、「ここに肺炎の影がありますね」というのは、そんなに難しくない。胃の内視鏡検査をして、「ここに胃潰瘍がありますね」というのもそんなに難しくない。しかし、レントゲンを撮って、「何も問題ないですね」というのは難しいし、内視鏡検査をして「胃はきれいですね」というのも難しいのです。

多分、多くの方は「何も異常はない」と「言う」ことが難しいとは思っていないでしょう。「何も無い」と言うのは「簡単な事」で、「何かある」ほうが難しいと思っておられるのでは無いでしょうか。しかし然にあらず。「何もない」「大丈夫」と言う事の方がストレスがかかるのです。そして、患者さんが帰られてからも、レントゲンやCTを見直して、ああかな、こうかなあ、といろいろと心配するものです。

後から見返して「ここに異常陰影があったではないか」「見落としではないか」という話を聞くことがありますが、後からものをいうのは楽なことです。そういう目でみるとそう見えてくるものですから。

世の中では、毎日、多くの検査・点検が行われています。ライフライン、交通機関の点検。商品の検品。麻薬密輸、ネット侵入のくい止め。みんな、それぞれ神経を使うと思います。「異状なし」というのは、なかなかハードルが高いのではないでしょうか。

私も「異常無いですね」と言うときには脈拍が速くなりますが(笑)、少しでも高い完成度を目指さなければと思います。


 

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