院長コラム(No.74 誰のせいでも無いこと)|大阪のがん免疫療法(免疫細胞治療)がん治療 北大阪メディカルクリニック

院長コラム

No.74 誰のせいでも無いこと

2020年06月10日

何か嫌なこと、困ったことが起こると、人は誰かのせいにしたくなります。「どうしてこうなる可能性があったのに、対策をしていなかったのか」「どうして・・・」。または、「自分が○○したから、こうなってしまったのではないか」「わたしのせいだ・・・」と自分を責める人もいるでしょう。
しかし、世の中には、どうしようもないこと、誰のせいでも無いことがたくさんあります。

その最たるものが「生老病死」。
「生」。この世に生まれてきたこと。この時代に、日本という国に生まれてきたこと。良くも悪くも我々は今、ここに、生きています。
「老」。誰もが歳をとり、老いていきます。肉体的なものだけではなく、精神的にも「老」に逆らうことはできません。
「病」。これも、どうしようもありません。どんなに規則正しい生活をして、毎年健康診断を受けていても、病から逃れることはできないものです。健康診断自体、病気にならないためではなく、病気を早期に見つけるためなのですが。
そして「死」。ある程度将来への時間が見通せる場合もありますが、今、世界に蔓延している感染症のように、思い残すことがいっぱいあるのにこの世を去らざるを得ないこともあります。

このように、「生老病死」は、誰のせいでもなくすべての生き物に訪れます。これが究極の「誰のせいでも無いこと」です。しかし、ここまででは無くても、「誰のせいでもないこと」は世の中にたくさんあります。

好ましくない結果が起きたときに、誰かのせいにしても解決にはなりません。1000年に一度起こるかどうかの地震対策の完成度をどこまで求めればいいのでしょうか。個人情報のセキュリティーをどこまですれば完璧と認めてもらえるのでしょうか。限られた財源の中で、どこまで補償を求めるのが妥当でしょうか。

多分、多くの人が、自分ができることを、ひたむきに努力して、今を生きていると思います。
足元ばかり見ていては空の広さを感じることはできないでしょうし、空ばかりを見上げていては足元の凸凹に気づかず転んでしまいます。
何か好ましくないことが起きたときに、それが明らかな悪意からうまれたものでなければ、他人のせいにするのではなく、また、自分を責めるのでも無く、その事実をそのまま受け止め、一人一人がその対処方法を考えることができたらいいなあと思います。

今、起きているウイルス感染。誰のせいでも無いでしょう。発生源を突き止めることが解決になるでしょうか。感染を抑えようとすれば、経済が止まってしまう。経済をまわそうとすれば感染が拡大するでしょう。我々は今、大変難しいバランスの中にいます。
しかし、社会全体が荒れ地になったこの春が過ぎ、今、新しいアイデアや助け合いの心がいろいろなところから芽吹いていることに、しずかな感動をおぼえ、新しい未来の光を感じます。

一覧に戻る