院長コラム(No.72 人生をどう締めくくるか)|大阪のがん免疫療法(免疫細胞治療)緑地公園駅 内科 北大阪メディカルクリニック

院長コラム

No.72 人生をどう締めくくるか

2020年05月27日

この春、新型コロナウイルスの感染が広がり、「人工呼吸器に装着」「ECMOによる懸命な治療」などということばがニュースでよく聞かれるようになりました。しかし基礎疾患があるかたや、高齢のかたが、急速な呼吸不全に陥ったら救命することはなかなか難しいでしょう。また高齢者、重篤な基礎疾患があるかたが人工呼吸器の装着やECMOによる治療を果たして望んでいるのかどうか。ご家族もそのような治療を希望しているのか。ウイルスの感染拡大がやや落ち着きを見せている今、考えておくことだと思います。

日本でも、諸外国と同様に「患者の自己決定を重視して治療方針を決めるべき」との考え方が広がってきています。この「患者の自己決定の意思を尊重する」という考え方は人生の最期を決める際にもみられるようになり、事前に示された患者の意思により延命処置を行わないことも認められるようになってきました。

延命処置に関しては言うまでも無く、正解があるわけではありません。それぞれの生き方、考え方に依ります。“可能性が少しでもあるなら機械の助けを借りてでも最期まで頑張る”という考え方もあるでしょうし、“自力で生きていけない状況がきたならそこで終止符を打つ。心臓マッサージも人工呼吸器も私は不要”という考え方もあるでしょう。しかし、急速に病状が悪化した際、本人の意思を知らなければ、家族は戸惑い、可能といわれるすべての治療をすることを選択するでしょう。

先日、コロナウイルスに感染したご高齢の親御さんを、入院させずに、自宅で看取ったという外国の家族の話を聞きました。賛否両論があるでしょうが、最期まで親のそばにいたい、触れていたい、と家族が思い、患者さん本人も最期は家族に見守られながら逝きたい、というのであれば、尊重されてしかるべきだと思います。

新型コロナウイルスの感染が広がり始めた頃は、どんなウイルスかもわからず、つい先日まで元気だった人が急速に悪化し亡くなったという報道に恐怖を感じたものです。しかし、少しずつこのウイルスの特徴が各国から報告され、対処の方法がわずかではありますがわかり始めてきています。ただ、ワクチンや有効性の高い薬を得るにはまだ時間がかかるでしょう。

ですから、自分は何のためにこの治療を受けるのか、自分はどのような治療を受けたいのか、または受けたくないのか、ということを考えて、ある程度の方向性は決めておきたいと思います。
すこし考える時間ができた今、自分の人生の最期をどのように締めくくるか、私も考えています。これは難しい問題かもしれませんし、考えが変わることもしばしばだとは思います。しかし、いろいろ考えてみることは大切なことで、もしかしたらシンプルにまとまるかも知れないと思っています。
逼迫している医療財政の問題もあるので、自分の受けたい治療が受けられるかどうかはわかりませんが、自分の受けたくない治療は受けたくない。そう思います。

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