院長コラム|大阪のがん免疫療法(免疫細胞治療)内科|吹田市 緑地公園駅近く 北大阪メディカルクリニック

院長コラム

No.122 オリンピック開幕

2021年07月25日

1年延期された「東京オリンピック2020」が始まりました。延期の理由となった新型コロナウイルス感染は世界的にみるとまだ勢いを弱めておらず、「コロナに勝った証」としての開催ではなくなっています。また、すでに414万人以上の死者数を出したこの感染症が収束したとしても、それは「新型ウイルスに勝った」などというものではないと思います。

オリンピック選手・関係者の中でも陽性者が120人を超え、長年の努力が報われず、スタートラインに立つことすらできずに帰国する選手がいることには本当に胸が痛みます。どんなことでもそうですが、努力した以上の結果は出ません。試合直前の感染判明でそれまでの何年もの日々の努力を発揮する舞台が奪い去られてしまうというのはあまりにも酷です。
オリンピックを目前にして試合に出る事すらできなかった選手の辛さは勿論ですが、その選手の日々の努力を知っている家族やスタッフも、“何とか試合に出させてあげたい”と大変心を痛めたのではないでしょうか。

参加する多くの選手がワクチンを打っていると聞きますが、ワクチンを打っていれば感染しないわけではありません。「PCR検査で陰性=感染していない」でもありません。ですから、感染から完全に切り離した状況を作り出すのは至極難しいことだと思います。

世の中には、1回くらい手を抜いたり、ミスをしたりしてもとり返せることはあります。たとえば毎日10時間勉強するところを、観たいテレビがあって8時間しか勉強しなかったとします。この場合翌日12時間すれば、予定通り元の軌道に戻すことはできるでしょう。
しかし、例えば、輸血をするとき。1000回の輸血をするなら1000回のマッチングテスト(=献血された血液を患者さんに輸血しても良いかどうかの適合試験)が必要です。「1000回のうち、999回はマッチングをしたから、1回くらいしなくてもいいや」とは決してなりません。
つまり、1回くらいなら軌道修正できることと、1回でも手を抜いたら軌道修正できず、大きな過ちになることがあるのです。

「バブル方式」というものは、完璧でないと意味がありません。風船は一か所でも穴があけば割れてしまいます。“2-3か所穴が開いてるけど割れない風船” は無いでしょう。世界にはいろんな文化背景がありますし、規則順守に対する考え方もそれぞれでしょう。今までの日本のように“お願いベース” でなんとか感染をそれなりに抑えてきたのは、やはり日本の国民性が少なからず自制的に働くものだったからではないでしょうか。感染症は目に見えませんから、一か所でも穴があくと大変です。かなり広いとは聞いている選手村ですが、やはり閉鎖空間です。逆に感染を広げてしまうことが無ければと願います。

感染症は目に見えませんから対応が難しいうえに、新型コロナウイルスのように“発症する前から感染させる” となると防ぎようがありません。そして、このようなウイルス感染が今後も次々と起こるでしょう。なぜ、このような新しい感染症が起こり、その間隔が短くなっているのか。我々人間の行動が要因の一つとなっているのは間違いないでしょう。「地球全体」として進む方向が同じでないと、人間中心に考えると「地球」としての反乱は起きます。

今回、オリンピック開催についていろいろな意見があったなかで始まったのですから、とにかく今は更なる感染拡大無く、試合が行われることを願います。そして今後、オリンピックというものの在り方についても考え直すことが必要だと思います。
今からでもできることが一つでもあればとりいれて、今まで不断の努力をしてきた選手たちがその力を発揮し、その結果に納得できるような場になって欲しいと思います。

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